09
一緒に死んであげるから喜んでよ。
お揃いならば幸せでいられた? 私の胸に穴はないのに?(テーマ:赤)
白い息の中 君の鼻のあたまだけ さよならって言いたくない(テーマ:赤)
天秤にものせられないから罪は坂道に転がしちゃおうね(テーマ:赤)
此処は空想で創作で僕は作品じゃないって繰り返す無駄
全部分かれとは言わないけど考えることくらいしてみろよ、なあ。
大人になったふりで引いて 警告の色 キスをしても良い合図(テーマ:赤)
貴方が綺麗だと云ってくれた靴を履いたら怒られる鯨幕(テーマ:赤)
君が湖に沈んでくれない オリジナルの地獄がまだ出来ない
私が何処にもいなくなってしまえばいいのに くびも吊れないまま
ぜんぶまっしろにはできないかわりにぜんぶもやしちゃいたいなって
*
もうそろそろ春だけど、地上はたいへんなようすだからまだ寝てなよ
ねぼけまなこのきみと話がしてみたかったけど、仕方ないんだよね
きみのためにたくさんのハエを取っておくからさ、しなないでいてね
しあわせですからみんななかよくおててつないで滅亡しちゃおうね
未来からやいばを向けられている 「お前たち、可笑しいぞ」 「そうだね」
君がすきと言うのにひどく時間をかけるのは君がすきだからだ
「当事者の方、手をお挙げください」 途端に水打つぼくらの世界
全部嘘でもいいけどね、感動しろと強要するデマゴーグ
貴方も私も顔のない怪物 鏡の中で指をさし合う
君が泡になるのなら今すぐ死んで君の笑わせるこどもになる
*
鸚鵡返しなんて、鸚鵡と較べてやるなよ 失礼だろ 鸚鵡に
明日のことなんて誰も考えないでそれっぽいことだけ言うの
本当は何一つ必要ないのに君はかわいそうがられたがる
衣替えとお別れしたのよ まあいいか 寝巻きになるしお安いし
今まで大事にしてこなかったくせしてよく回る手首ですね(テーマ:古)
ぼくはひとの皮をかぶったかいぶつだけど じゃあ君はなんなんだい
自称天使の君のその背中の翅を毟ったらさて、何が出るかな
肚の中身を抉り出すようなことをずつとやっている それが正常
さよなら、私。 もう脱げるだけの皮はないのよ、何処にも 首を吊る
あなたのことがきらいですあなたのことがきらいですあなたのことが
*
一人で死ななくていいよ だからさあ、逃げられると思わないでね。
心中したげる、みんな君のためだよ 君のことはだいきらいだけど
かわいそうにね、君のことすきなひとはきっと心中してくれないね
何処にもない君にとってやさしい世界に傘がありふれますように
犬の皮を被った蝙蝠 来世は狸か狐がおすすめ
いっせえのおせでさよならしよう 君がしがみつく世界を焼くために
仕方ないよね、自業自得だし セーブ地点間違えちゃったんだし
君が死んでくれるなら僕も一緒に死んであげる それが望みだろ
どうやら僕の見てる世界はちょっとばかりトリップキメたやつみたい
どうしてかわいそうっていうの どうしておかしいっていうの どうして
*
こうもりの広げたのじゃ穴だらけで雨も凌げない 梅雨が来るよ
二ヶ月からのうさぎをたべる あまりの小ささに嗚咽がこぼれる
やっとのことで出てきた蝉は春を殺した犯人を知らないまま
人殺しのようにうたをうたってみたかった 愛されないぼくたち
テプラ貼り付けて君を愛する 正義のために君を守ってあげる
貴方に生命(いのち)がないこと、魂がないこと、悲しいなんて嘘だよ
血が出たら大人の証、なんて、ああきもちわるいねきもちわるいよ
「愛してるって言って」「愛してるよ、冷蔵庫の鍵より」「鍵があるの」
黒猫が尻尾をゆらゆら揺らして踏切の向こうは五年前
今日も元気に「死にたいなあ」「死にたいねえ」ほんと死なねえなこいつら
*
いつまでも首を吊れないで海辺を彷徨っている 脚があるから
泡になれたら良かったね 物語の主人公にはなれないままで
脇役の方がマシだったとか今更注文が多いんですよ
君だけに誂えた人生じゃないんだから自分で直しておいて
鍋が吹きこぼれる前に教えてくれるカメムシを逃してやれたら
何処までもこの世界は檻だよ 知ってると思ってたよ ほんとだよ
スカートの翻る角度を計算してる そういうブランドだから
鮮度が落ちたら要らなくなるの 大人になったらいけないいきもの
私に優しくするのは私が好きだからなの? 全部媚びなの?
すごいすごい優しい物語ですね 私の舌には合わない
*
いつか私も貴方みたいになるの? その前に死ななきゃ、死ななくちゃ
しろくまの毛の色がほんとは何色だって構わなかったんだよ
君の嘘だって豪雨に隠してしまうから迎えに来てね お願い
春の味を詰め込んだ鍋は君の死んだあとの世界の味だ
ないものをあるように見せるのがお上手ですこと 詐欺師になれるよ
今の僕が夢でないこと、一体誰が何が証明するんだろ
せめて蝶々なら良かったけれどこの腕は二本、脚も二本だ
羽化しなければ死ぬだけなんだよ、君は知らないんだろうけどさあ
羽化出来なかった君はつまり死んでるんだけど、いつそれに気付くかな
ダイヤルアップの音を聞きながら君が綴るもののケチくささ
*
か弱い生き物でいなくちゃ、わたしは守られてあげていなくちゃ、はあ、
夢現実夢現実夢現実夢 今はどっちだったっけ
モザイクでも見える君の顔 だから注意しなよって言ったのにね
大丈夫じゃないけど大丈夫じゃないって自覚あるから大丈夫
死んで欲しい人を願っただけで殺せる力があれば良いのに
私の大切なものを君の可愛いお人形さんにするなよ
羞恥心では食っていけないけれどそれがないと社会にいられない
貴方がつけた傷をわたしが忘れると思わないでね、絶対だよ
君の思考に何度も潜る度に私が誰なのか分からなくなる
せめてその口閉じることから始めろよ 沈黙は金なりなんだよ
*
優しい顔した悪人と罵った口で食べる優しい言葉
君はずっと皿の上 どう足掻いてでもう逃げ場はないよ さよなら
ゴミクズからゴミクズと罵られる気分はどうだ? ようこそ底辺
似たもの同士だから肩だって抱いてやるよ、だから逃げんなよ、なあ
気狂いがいただけのことでしょう、そう珍しいことでもないでしょう
いつか貴方に殺されるために生まれさせられたのだと信じてた(テーマ:親)
百点満点をとっても褒めてもらえなくてもにっこり笑えます(テーマ:親)
君が怒る言葉は合っていたのに静まり返らない教室
君に嫌われていたかったのに 君はどうして僕が好きなのだろう
宿題をやるための夏休みの最終日が一生来ない(テーマ:コロナ)
*
ギタギタのぬいぐるみ抱いて今日も眠れないと嘯くのにも慣れた
君のあいがほしくてあめがふるのをまってる 沓脱石 ろくがつ
ハイヒール履きこなす友人は何も履きたくない僕には眩しい
人間でいるのだって難しいのにまだ細分化するの 本気?
茨だらけの道だけどハイヒールで蹴散らして良いんだからね
手放さなくちゃって、そもそもアンタのモンだったことなんてないよ
出来立てのポップコーンをくれるハローキティはもう優しくはない
ルマンドはいいよね、すぐ壊れられるから 壊れても食べられるから
嫌われたくないからぬいぐるみのお腹にせっせと石を詰めてる
結局なんで背中だったのか分からない 僕は人間じゃないから(テーマ:キック)
20201106