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魔法使いはいない
言えなかったさよならも用意してなかったのも全部呪いになる
非常階段が黄色くて錆びて剥げてたのも全部太陽の所為
君の背中の温度より刺さる塗装が気になったのも全部そう
きらきらの青い春なんて何処にもなくて負け犬は幻つくる
この恋は一生もの だから子機は君にあげるよ、持っていてね
辻斬りのようにうたいたかった 誰でもないぼくで傷付けたかった
あたしより食洗機のがえらいもの あたし、おさら、割っちゃうもの
約束は無効にならない から、チョコレートの銀紙も破らない
この時間に賞味期限切れのビーフシチュー、温めちゃうからだめ
だって金曜日会いに来て良いって言ってた LINEも既読だし
*
「何処にもない」を探している、飽和するしかない角砂糖みたいに
宛名のない手紙が貴方宛てではないこと、怒ってくれないでしょ
君の底の正しさを探している 愛するべきを愛するために
誰だってよかったのなら感情に名前なんてつけなかったよ
ちゃんと愛するからちゃんと殺してね、約束だからね、破らないでね。
生まれたのなら死ぬまで、わたしはわたしでしかあり得ることは出来ない。
貴方になれたら良かった。わたしなど何処にも居なければ良かった。
愛してるなんて云うくらいなら、すべて物語にして終わらせてよ。
嘘が美しいだなんて、思いたくなかった。認めたくなかった。
貴方の生命を使ってわたし、雨の中、産声を上げてしまった。
*
人間のなりかたを模索している 必要のないものを[検索]
愛じゃないものを愛って名前附けて良いって知るまでに、百年
真夜中が呼んでいる さよならの温度を喰らいながら待っている
頭がずっとくらくらしているからきみとキスが出来ないままだよ
呼吸のうまく出来ないままのさかな、陸にあがって脚もあるけど
きゅるきゅるとなる心臓 はやく俺を人間から戻してください
機械仕掛けが良かった きみの運命も何もかも変えたげるのに
美しい翅を持つきみが誰の手にも触れられないように保護するの
「美しいものをこの手に収めておきたい」 当然でしょう?そうでしょう?
愛の証明だとかそういうのは無理です 浅ましく沈む真夜中
*
何も知らないでいた方が幸せだったりして 難しいよね
君に言わないこと 君に言いたくないこと きれいな世界だけ見ていて
さよならって言ったら納得してくれるような 子じゃないの知ってた
ついてこないでよ ぼくはぼくは ぼくはぼくは きみにまだ 言って ないことが
ぼくはきみのことがほんとうは せかいでいちばんきらいだから
(お題:真実)
決めたのです 君のことを好きになること 君のことを好きになること
君のことをよく知れば きっと君の嫌がることも分かるでしょうから
私、強いこどもだったの 我慢強い優等生 知ってるでしょ?
好きになって愛したら 君への憎悪が完成されてくれるから
このナイフの切れ味も うつくしいくらいになるから だいじょうぶだよ
(お題:決意)
*
震えるきみの夢の中に 僕がいたら良かったのに 知人Bだし
マッチ何本乗せられるかな、なんて 馬鹿なこと言ったのに 笑ってよ
魔法でどうにかしたかった 夏の屋上 長さ測ればよかった
「忘れちゃうくせに」「忘れないよ」わざとらしいまばたきのサイン
雪が積もって 花が咲いて きみはきれいだなんて 言えるはずもなくて
(お題:睫毛)
軒先からおまえの夢見たものが すいと伸びている 冷たいよ
歯も大して立てられないくせして 凶器を囓るお前は強いよ
どうかわらっておくれ 滑稽だと蔑んでおくれ あかぎれた指先
痛みも分からぬおまえに してやれることなど ほんとうは一つもない
愛したかった 愛していたかった 凶器が春になりなくなるまで
(お題:垂れる)
*
季節が分からなくなっていく もう食べられないよ、春はまだ来ないよ
まるまると羽織ったキャベツかレタスの上、ぬぼっと咲いた花ひとつ
なにをしても良いってわけじゃないんだよ ぼくたちの未来を守ってよ
言葉が消えた世界はどんなに僕に冷たいか 墨で消して、消して
さよならは趣味じゃないから、せめてこころばかり、心中くらいはしてね
終わりあるものでいたいよ、終わりあるものでいるよ、そうでしかないよ。
緩やかに燃える焔がいつか本になった僕を蝕んでくれる
きみの指先が生きていること、どうして忘れることが出来るだろう
人間の在り方を定義しないでいて。前人未到でずっといて。
穴あきだらけの時刻表そこのけそこのけワイドビューがとおる
*
生きてることを知られたくない 僕は無事に死んだことにしてください
カエルの顔したきみのこと 愛せてたらもしかして白い腹も怖くなかった?
カエルの顔したきみのお腹 白くなかった、紅くて 悍ましかった
雨が降って君の痕跡を消してゆく 丁寧に 消えてしまった
不幸でありましょう 不幸でありましょう 幸福なんか敵ですから
正しい愛なんて何処にもないのにまだ探してる丸が欲しくて
薄ら海 我呼ぶ姉妹朽ち果てて 折れた脚では墜ちるも出来ぬ
貴方が女性だから感謝してるんじゃないんだよ ミモザの王冠
生命はみんなおんなじさ 君の言葉だけが頼りだよ、最悪だ
泣いてしまったらストレスが外に出ていくなら私は呑み込むよ
*
魂を喰らい尽くしてその先に一体何が待ってるのだろう
さあ、あと一歩だよ。あと一歩で全部終われるよ。あと一歩だよ。
僕に死んで欲しいとも言えない嘘吐きない貴方、可哀想ですね。
さよならを言いそびれました、代わりにナイフ持ってきました、許してね
君から奪った君の鎧を役にも立たせず捨てるだけの僕だ(テーマ:鱗)
ぺたぺたのもちもちになった頬は誰でもない、わたしだけのものだ
死にゆく母の点滴の速度が目に焼き付く 次はきっと会えない
散布されたもので死ねるような翅を持っていたかった ………なんて、ね。 ね?
他人のそれで塗り固めた自己愛、それは本当に自己を愛してる?
お腹がいっぱいになる それだけクッキーが減っていく かなしい午後
*
微睡むことを許されている、貴方の居なくなった寂しい午後に。
ピアノが聞こえなくなったからって君の恋が消えたわけじゃないんだよ
ひとりぼっちでよかったよ 朽ちた王冠を埋めて薔薇を待っている(テーマ:王)
白詰草を頭に乗せて今日からきみだけの王国がはじまる(テーマ:王)
三月に咲く花々はまぶしくてひらり目醒めた翅を広げる(付け句のひろば様より/下の句)
海に行ったら死ねると思っていた そんな簡単にはいかなかった
壊れてく日常のこと愛してやれなかったからそれだけ謝っとく
嘘吐きだけど自分の嘘ではいてないてこわれてくぽんこつなの
女の子は砂糖で出来てるなら頭からばりばり食べても良い?
糖分が不足しています 深刻なエラーですエラーですエラーです
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泣いて全部終わるようなそんなどうでも良いきみでいてくれたら
僕のこと、愛してるだなんて言わないでよ 気持ち悪くて仕方ない
吐いてしまえば良かった きみの愛は僕には消化出来ないんだもの
洗濯機に入って全部なかったことにしたい きみのことも全部
その偽善者面よくお似合いですよ これがさいごの餞です
ねえ、君をさらってこんな地獄から抜け出したいだけだったんだよ
真っ白な世界で歩いてきたね 僕らの大事な物語のため
ピアノを弾けるこどもだったら良かった 君に好きだってきっと言えた
見ないで わたしを見ないで わたしはわたしのことが嫌いなのだから
愛してなんかいないよ だって心なんて持たないロボットだもの
20210313