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冷たいからだ




耳の底冷たく響く春の雨 おやすみ世界、まあ明日だね
押しつけた耳を塞いで夢枕 明日の空は花粉警報
鮮明なワンシーン「これ捨てといて」踵から落ちてく画鋲たち(初句:鮮明な)
水泡(すいほう)と朝日に紛れて笑うきみ おい待てそれ俺のスマホじゃん(水町春さんへの返歌)
真っ黒な頭削れて粉々になった きみへの手紙書けずに(連想:鉛筆の絵)

スイッチを押したらそれでこころが停まるいきものだったらよかった(連想「仕組み」)
あてつけの妄想から貴方は羽撃いた 完全無欠の現在(いま)に(coccoに寄せて)
正確に射抜く練習繰り返す きみが笑顔で眠れるように(初句:正確に)
「何回も忘れることが出来ますよ」削除ボタンを一つ押すだけ(初句:何回も)
お知らせは全部他人事明日には強盗走る町になるかも(連想「ニュース」)



ぐずぐずの傷口に爪立ててみて証明してる貴方の不在(連想:救急箱の絵)
何年も何年先もきみたちが居なくなっても憶えているよ (連想:大きな木の絵)
くちなしの花片雨に縊るとも地見て果てども香こそ残れる
貴方のいない世界に色はなくて だから僕は、だから僕は、此処で
雨叩く旧い硝子戸の偏光を思い出せずや図書室にて

死んでしまうきみをとめたい ぼくのためだけに生きて死んでほしい(連想「執着」)
他の誰も映さないで ぼくだけを見て見つめて忘れないで(連想「執着」)
はっきりと言わせてもらいますけどね、燃えないゴミは木曜でした(初句:はっきりと)
今の子たちは知らんよね、カントリーマアムが月くらいデカかったの(連想「時代」)
まっさらに乾いた衣たちよ、明日はなんだかいい日になるかも(連想:洗濯干してる絵)



少しずつ忘れてしまおうか 色褪せた切手を一人貼り付ける(初句:少しずつ)
終わるんだって、忘れられてしまうように、わたしたち、消えてしまうの、
初めは笑って済ませるつもりだったよ 結婚しないわたしたち(連想「初め」)
ぺたぺたと前に進むだけが世界じゃあないよな、空が眩しい
五番線のドアが閉まる、つばさのないわたしたちは閑かに座る

誰もが同じ言葉を綴っている「宣誓、僕たち私たちは」(連想「代表」)
青々と芝巻き上がる秋の空 瞠目線引く駿馬の尾かな
踏み越えるかばねの上に杳と咲く消すものおらぬ勝者の足跡(連想「歴史」)
全部全部掃いて失くしちゃおうね、教室の澱もきみの罪も(連想:掃除用具の絵)
坂道の上にきみがいて、わたし、幸せだって言うの、忘れました。



男とか女とか、たくさんの仮面を持って踊るのには飽きたよ。
君が唱える呪文「ティーラテキャラメルシロップ追加」それが好きだ
誰も死なない世界がよかったよ いやホントに おひたし食って寝ろ
ある午後、からっぽのプールの端できみはひとり、殺人鬼になった
真っ白な世界でいちの速いのを打つイメージはもう出来ていた(画像連想)

ごとごとと翠の山の流れたる閑(しず)かな筺に我はひとりに(お題:電車)
作られた恋だった嘘ばっかりで幸せだった それは本当(初句:作られた)
密やかな主張だとしても足跡(そくせき)は云えば消されてしまうのでしょう
木造りの古いまな板傷付けて祖母の手元は正確なまま
振り返るぼくの後ろにみちのりは出来ているのか ぼくの後ろに(連想:過去/NG:過去)



ゆく人や袖の一人も濡らさじと河津の桜は朝を告げたり
規則では零時に切れる契約の更新します?重たいにく(月+肉)で(初句:規則では/縛り:一見詩的ではない)
屋上の扉が開いて光射す 真白の米にひらり、春色(お題:学校)
美しいきみの耳へと鎮座する安いひかりと誰かの名残(時事詠「開花」)
ふわふわのくもをあなたとわけあったあのひをどうかおぼえていてね(依頼:全部ひらがなの短歌)

雪融けて河のはやさの増してこそ首落ちなばと祈るよしもな
手の届くものじゃあないと知っていた 頭の中が凍てついていく(お題:才能)
鮮やかな色を引いてく指先を追えば追うほど世界はモノクロ
ボロボロの屑石息を吹きかけて磨いて視線独り占めする(お題:才能)
指先の持ち主知らぬ世界でもさされなければただのがらくた



給水のランプが赤く呼び醒ます夜の部屋には夢が漂う(初音:きゅ)
片方の乳房赤子に差し出してほっそり翳る母の横顔(初句:片方の)
薄ら日の枝を撫づるや交々に誰を彼をも知らぬ人とな
はるひなた人も香もこそ移ろえば夢に現に君を見しかな
税込みと税抜きの表示較べ見てどちらが得か悩む無駄さよ(詠み込み:抜)

牛乳のまあるい白さ眺めつつ牛に残った黒を思わん(初音:ぎゅ)
フライパン落ちたたまごはふたごちゃん そういうものに笑っていたい(連想:幸福/NG:幸福)
食パンをくわえてわたしが走るからあの曲がり角で落ち合おう(お題:ラブコメ)
ないはずの坂を左に下りていくジャンボ浜名湖インターチェンジ
夜の風 黄金(こがね)の鍵を燻らせて那由多の夢に眩めてしがな(詠み込み:10以上の数字)



教会の大人のはなしは分からねどこのてのひらにパンはありてし(初音:きょ)
さよならの練習足りず唇は舌を丸めて鎖されたまま
この山の名を知らじとも路ありてこぼれる梅の轍追わずや
寒くてもお腹空いても耐えるからおほしさま空からくださいな(画像連想)
探しても四角の中に僕たちがいない世界は絵画みたいだ(画像連想)

「こんばんは…どうも、あの時、助けていただいた…え? 隣の、家…です…か…」(お題:恩返し)
途中から魔法は解けておりました ガラスの靴は君のじゃあない(初句:途中から)
恋なんて馬鹿ンなった方の敗け 知ってるけどまだ馬鹿でいたいの
行列の先に一体何があるすわタピオカかわらび餅かも(初音:ぎょ)
宝物探したり牛を育てたりなんでもいいよ それが貴方だ(依頼:RPG)



知りたがりの熊は春を待てずにぐるぐると穴蔵で踊る、雪(初音:し)
死にたがりのきりぎりすは躍る力もなくて眠れもしない、雪
古ぼけたカメラの名前撫で続けわたしの翅は抜け落ちてゆく(初音:古ぼけた)
「弟」と呼ぶその名の欠片から憎悪少しずつ抜けてゆけばいい
今きみの世界でキリンの価値はいくらくらいなのだろう 高騰中?(連想:会話/NG:会話)

「もし、あなた、僕のこころの螺子の行き先、知っていたりはしませんか」(お題:歪み)
箱庭の中にもひとつ箱庭を作ってみても何も変わらん(お題:歪み)
名前をつけて保存の語感の良さだけ頭に残りつつ削除(画像連想)
凪いだ海 火を絶やしてはいけないよ 人魚に脚を取られるからね(お題:ホラー)
半分に割れた鏡の向こうからはにかむわたし=u入れ替わってよ」(お題:ホラー)



きみたちの平たい足の甲の上 飛沫たちだけ秘密を告げる(依頼:海や波にまつわる)
白い皿彩(いろ)とりどりの花乗せてヤマザキ春のパンまつりかよ(下の句:ヤマザキ春のパンまつりかよ)
ジギタリス編んで貴方の冠を作り待ちます 一人の部屋で(初音:じ)
初花の実りて夢の万里にも朝の露とて袖は濡れまじ(依頼:初めて出来た恋人とずっと続いてほしいしそうなって欲しい)
寂しさを頬袋いっぱいに溜め込んでぼくはぼくの春を待つ(初句:寂しさを)

幾ら走っても貴方の死体が其処にあるみたいで落ち着かない(お題:憂鬱)
金色の陽射しの中で僕たちはマスクをしてはくしゃみをしてる(お題:憂鬱)
美しい雲の墓場に君はいる 神様だけが知ってる場所に(依頼:好きな映画/紅の豚)
ぢつと見て居る言葉の一番上から追放されしきみのこと(初音:ぢ)
失恋の悲しみ一生消えない気がしてたのに不思議なんです(結句:不思議なんです)



はらはらと落ちる一つも掴めずに想いも告げず別れしぼくら(お題:桜)
偽物のぼくたちが跳び発つ明日 少女に翅は生えないままに(初音:に)
憎らしく思ってたかった それだけ心に残しておきたかった(初音:に)
熱狂の中を風のように走れ さあ栄光はきみに輝く(画像連想)
散るや散る 咲くは散るため流るため ひともさくらも散りて散るとな(依頼:桜が散る様子に風情を感じる)

ぐるぐると回る気持ちはメリーゴーランド 君の恋は薔薇の下(お題:乙女)
わたしはきみが好き、きみはあの子が好き、あの子はわたしが好き。
ひつまぶしさくさくしゃもじ分け入れてほわほわ香る旅の思ひ出(初音:ひ)
消しゴムに名前刻んで真っ黒に塗って燃やして終わりにします(依頼:ほどほどの呪い)
死なれたら困りますので小指をぶつけるとか、手の方でいいので。(依頼:ほどほどの呪い)



20230418