こゆびのゆくえと エネミラ

 幼い約束だ、と一蹴することはとても簡単だった。エネドラと与えられた名はいつの間にやら変容していって、最初にいたはずの俺は何処かへと消えていくのを待つだけだった。俺であったはずの俺が完全に消えるのが先か、それともこの身体が死ぬのが先か。それをミラは知っていたように思う。だっていつだってあいつの顔は悲しみに歪んでいたから。あいつは笑顔の似合う女だった。馬鹿みたいな笑みで虫を捕まえては俺に見せてくるような、そういったことをする女だった。女とも思えない女だった。そうだ、だから俺はずっとミラを信じているのだ。そこに介在するのは絶対的に恋とは成り得ず、俺とミラとの間に何かしらがこれ以上生まれることもないのだから。そんなことを俺が言えばいつもの笑みでお前は蹴散らしただろう、お前はとても気高かった。俺をいじめたくてたまらなかったお前からは想像が付かないくらいに、ミラという生き物は気高かった。お前は決して俺を害しはしなかった。そういう約束だったから。俺もお前を害しはしなかった。そういう約束だったから。ああ、その幼い約束のためだけに俺はお前のためにあり、お前は俺のためにあったのだ。
 だから、嗚呼、ミラ、ミラ、お前は従っただけだ、知っている、知っている、そうでなくてはいけない。俺が、エネドラが知っているミラは、そういう女でなくてはいけない。俺たちの隊長様は少々根暗だから俺たちで支えてやらねばならないのだ。そう誓ったお前が、俺を殺すことなんて、自分の意志で俺を殺すことなんてあり得ない。何故ならそういう約束だから。他の何に心を捧げても、俺はお前を害さないし、お前は俺を害さない。そういう約束だから。
 何も恨まずに行こう、我が親愛なる隊長殿への愚痴だけを抱えて行こう。いつかお前が来るその日まで。出来ることなら、小指は保管しておいてくれ。

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夏のこども 陽レイ

 子供にする寝物語が真実でなくなはならない理由など何処にもないだろう。それを利用するかのように、ただ物語の一つのように、レイジはその話をしたことがあった。
「むかしむかしあるところに、近界のなかでも、とてもさかえていたおうこくが、ありました。そのくにには、いつだってトリオンのひかりできらきらとかがやいていましたが、ねんねんトリオンをあつめることが、たいへんになってきていました。トリオンしょうひのすくない、せいじにきりかえればよかったのですが、おうさまたちはトリオンをたくさんつかうせいかつになれきっていたので、そんなことはいやだと、くにのトリオンをひとりじめしようとたくらみました」
「わるいやつだな!」
「ああ。―――しかし、くにのひとびとがそれをゆるすはずが、ありません。くにのひとびとはかくめいをおこしました。いじのわるいおうさまやおうひさま、おうさまのおとうとだっただいじんも、そのおくさんも、くにをだめにするからところしてしまいました。そのなかで、おうじさまだけは、まだとてもちいさかったので、どうしようかととりあえずつかまえられました」
「ぐっ…ころしてしまったのか」
「殺してしまったようだな」
「おうじさまは?」
「王子様はまだ生きている。―――くにのひとびとはまいにちまいにち、あたまをつきあわせてかんがえました。どうしたらトリオンしょうひをおさえて、このくにをすくえるか。そのこたえはすぐにでました。そして、じっこうされて、くにはすくわれました。でも、くにのひとびとはまだもんだいをかかえていました。そう、おうじさまのことです」
「おうじさま!」
「くにのひとびとはおうさまたちのことをとても、にくんでいました。おうじさまもおんなじことをするにちがいない、とおもっていました。ですから、ころしてしまえ、というひとびとがいました。けれども、まだおうじさまはちいさいのだから、これからいろいろなことをおしえて、ちゃんとしたおうさまにすればいい、というひともいました。まちのひとびとはまいにちまいにち、あたまをつきあわせてかんがえました。そして、さいしゅうてきに、たすうけつにすることにしました。たすうけつで、ちいさなおうじさまは、しょけいされることにきまりました」
「なんと…!」
「しょけいのひ、おうじさまがしょけいだいへとつれてこられると、まちのひとびとはとてもよろこびました。これでおうさまたちのようにくにをくるしめるひとはいなくなるのです。はやくひをつけろ、とまちのひとびとはさけびました。おうじさまのいるだいに、ひが、つけられそうになったそのしゅんかん、くうちゅうにあながあいて、おおきなふねがやってきました」
「えんせいていだ!」
「あたりだ。―――それは、えんせいていでした。ほかのくにからやってきた、近界民でした。近界民はどうしてそんなちいさなおうじさまをころしてしまうのか、とききました。まちのひとびとは近界民にせつめいしました。このくにのおうさまたちはとてもひどかったのだと。だからおうじさまもころしてしまうのだと。近界民はなるほど、とうなずきました。けれどもそんなにちいさなおうじさまがころされてしまうのはかなしいと、そうともいいました。近界民はおうじさまをあずかる、といいました。このくにとはとおいところで、いいこにそだてる、と。だから、ころさないでやってほしい、と」
「近界民! いいぞ!」
「けれども、おうじさまをころすきまんまんだったまちのひとびとは、すぐにはなっとくできませんでした。そんなことをいう近界民もわるいやつなのだと、そうおもってぶきをてにとりました」
「ああっ!」
「ですがやってきた近界民はとってもつよかったのです。えいっとかなたをふると、まちのひとびとはふっとんでしまいました。近界民はそのすきにおうじさまをかっさらって、そうしてじぶんのくににかえりました。おうじさまはそのくにでいいこにそだち、とてもしあわせにくらしました。めでたしめでたし」
「よかったな! 王子様!」
「さあ陽太郎、そろそろ寝ろ」
「はあい」
言われた通りに目を閉じた陽太郎が、なあレイジ、と話しかけてくる。
「王子様は、そのあとしあわせになったんだよな」
「ああ」
「じゃあ、夏休みがたくさんあったり、したんだろうなあ…」
「なつやすみ」
「なかったのか?」
「さあ、どうだろうな」
 なかった、とはレイジは言わなかった。陽太郎の口調から、あった方が良いのは分かっていたが、レイジは夏休みなんてものを知らないままだった。それを察したかのように、陽太郎はがばっと上半身を起こした。
「陽太郎、もう寝ろ」
「レイジはっ」
「ん?」
「レイジはもっともっと、おれと遊べばいいとおもう!」
ぱちり、目が瞬く。
「夏休みなかったなら、今から夏休みにすればいい! ずっと夏休みだっていい!」
いつ、レイジの話だと言っただろうか。眠たくて、幼子の頭の中では混ざったのだろうか。
「レイジは大人なんだから、じぶんで決めていいんだ!」
 ただ、その言葉はすとん、と落ちてきた。
「………ああ」
「わかったなら、いい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
今度こそ目が閉じられる。規則正しい寝息が聞こえてくる。
 きっと明日から、好きな時に夏休みが来るのだろう。



私たちはいつまでも夏休みの子供みたいにしていていいのだ。光の中で遊ぶだけ遊んで、肉体が衰えたら死んでいけばいいのだ。 / よしもとばなな

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愛していた、何もかもを。 唐沢+修

 彼を見た時に、ああこういう人間がこの組織には必要なんだ、と思った。それはずっと願ってきたことなのに今までずっと唐沢の前に姿を現さず、この時初めて形らしい形になった願いだった。もしかしたら願いと言うよりもずっと明確な欲望だったかもしれないが、そこは汚い大人が抱くものと純粋な子供が抱くものとで出る差ということで許して欲しい。
「三雲くん」
煙草の煙は輪にならない。
「君は、ヒーローになれるよ」
 きっと彼は望まない。そんなことではなく、根っからのヒーローなのだから、望んでなる訳ではないのだ。それでも唐沢は言う。伝わらない言葉を、無理矢理形にする。
「君は、ヒーローになれるよ」



ヒーローがひつようなんだぼくたちを殺してくれるかっこいいひと / きたぱろ

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維持なんてやめてしまえよ 木林


 ボスは子供なんですよ、と言えばそうかもな、と返って来るような関係だった。誰に作られたのかその拒絶はいつだって柔和にそれでいて強固でしかなく初めて会った時まだまだどう見たって子供でしかなかった木崎にとっては乗り越える術など見当たらなかった。周りは気付いているのかいないのか、気付いているのならばその上で放っておいているのか、しかしながら木崎にとっては放っておけるようなものではなく、だからそのよくわからない思想の元に跪いたのかもしれなかった。そんなことを漏らせばきっと若者の未来がどうのとかそう言った文言でもってして二者面談なんてシチュエーションに転じてしまうだろうから言わなかったが、恐らく子供の考えなどお見通しだったのだろう、と思う。何処からどう見ても子供であるその人は、もしかしたら子供であることを望まれたその人は大人であって、大人は子供の浅い考えなどお見通しであったのだから。
「なー」
「なんですか、ボス」
「陽太郎が春になったら花見したいって」
「花見ですか」
「ちょっと行った先に土手あんじゃん。あそこ、結構桜咲くみたいだし、いいかなって思うんだけど。混むと思う?」
「思いますよ。去年テレビに出てましたから」
「あー…やっぱそっか。テレビ見てなかったわ。嵐山とかとライン交換するべきかなあ」
「ボーダーの顔をニュースサイト代わりにしないでください」
「他にいいとこ知ってる?」
「…山になりますけど」
「山かあ」
「山です」
「俺は良いけど、陽太郎がどう言うかねえ」
「最悪背負っていけば良いんじゃないですか。陽太郎もあれでいて結構遊び歩いてますから、足腰強いと思いますよ。ボスと違って」
「ええ、お前まで俺のことオッサン扱いすんの。オッサンだけど。流石に四方八方からそんな扱いされるとオジサン悲しい」
「自称してるじゃないですか」
煙草だけが量産されていく二人の間にある空間を居心地が悪いなどと思ったことはない。
「再来年は、」
「うん?」
「陽太郎抜きで誘ってください」
 その言葉にその人は暫くぽかん、としてからにっと笑った。
「もう数年は無理だろうなあ」
構われたことが嬉しい子供のような顔だった。



image song「リビングデッド・ユース」米津玄師

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幸せになりたい すわつつ♀ R18

 堤には諏訪と自分との関係を正しく表すための言葉がない。何をどう言っても言い訳になるだろうし、恋人ではないがセックスをする友達、だからと言ってセックスフレンドと言ってしまうのも何か違うような気がした。ともあれ、違うと思っているのは堤の方だけなのかもしれなかったけれど。そもそもこの問題について諏訪に問うたことはなかったのだから。
 とは言え諏訪は堤とセックスをする傍ら普通に彼女を作ることも忘れはしないで、出来たら出来たで堤のところに来なくなるかと思えばそんなこともなく。ああこの性器が誰か見知らぬ人間の中身もかき回しているのだろうなと思うとひどく気分が悪かったが、諏訪を拒絶することは出来ないし、堤の身体もまたそのことによって変調をきたすこともなかった。どうやら堤はひどく頑丈に出来ていたらしい。
 ただ一言、嫌い、と。
 嘘を吐いてしまえれば。
 そう夢見たことは何度もあるのに堤の唇は閉ざされるばかりなのだ。諏訪のことが好きでたまらない、だからこそ顔も知らない女が憎くてたまらなくて、幸せそうに今の彼女の話をする諏訪に手を伸ばしたくて、好きと言いたくて、愛していると、好きになってと、愛してと。
 それが出来ないなら、死んで欲しいと。
 そうまで思うのにやはり堤がするのは嬌声を上げることだけで、諏訪のその背中に縋り付くことも彼に泣き叫ぶこともしないのだ。



image song「呪い」増田ミシン

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三回まわっても貴方が好き! 米古

 「今あまりにいっぱいいっぱいだから慣れるためにいっぱいキスしていい?」

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ぼくのゆめ モブ林

 ようたろうくんのおとうさんのことをぼくはよくしらないけれど、たばこのにおいがしてとてもおとなだなあとおもうことがよくある。ぼくのおとうさんはたばこをすわないからよけいにおとなだなあとおもうのかもしれない。ひげもはえているし。ちょっとまえにどうしてひげをそらないの、ときいたらようたろうくんのおとうさんはねんれいよりしたにみられるからだ、といっていた。ようたろうくんのおとうさんはそれがとってもいやらしい。だからないしょだぞ、といわれてぼくはようたろうくんのおとうさんにとてもしんじてもらえたきもちになって、おおきなこえでわかった、といった。こういうのはしんらい、っていうんだってようちえんのせんせいにならった。
 ようたろうくんのおとうさんはときどきしかようたろうくんをむかえにこない。だからぼくはあまりようたろうくんのおとうさんにはあえない。でもようたろうくんにたくさんはなしをきいて、たぶんようたろうくんのおとうさんがおもっているよりもたくさん、ようたろうくんのおとうさんのことをしっている。
 ようたろうくんのおとうさんにあってから、ぼくはまいにちがとってもたのしい。それはおとうさんにもおかあさんにもわかるみたいで、ぼくはなんどかしつもんをされた。でもぼくはようたろうくんのおとうさんのことをないしょにした。そうしたらおとうさんもおかあさんもすきなこができたのかも、といってそれいじょうはきいてこなかった。
 すきなこ。
 ぼくはようたろうくんのおとうさんのことがすき。
 いわれてはじめてぼくはそれをしって、それからなるほど、とおもった。なるほど、というのはなっとくしたときにつかうことばだとならった。なっとくというのは、こころにすとんっとことばがおちてきたときのことだ。ぼくはまわりのこよりもたくさんのことをしっている。ようたろうくんのおとうさんといっぱいおしゃべりがしたいから、たくさんのことをしっている。
 すきなことはけっこんをするらしい。けっこんしたらけっこんしきをあげて、おなじいえにすんで、こどもをつくるらしい。おとうさんもおかあさんもけっこんのことをたくさんはなしてくれた。どんなこかなあとうれしそうにいうおとうさんとおかあさんに、ぼくはまだようたろうくんのおとうさんのことをいわなかった。
 ようたろうくんのおとうさんのことはひみつにしていたかった。
 ぼくだけの、ようたろうくんのおとうさんでいてほしかった。
 けっこんしきではうえでぃんぐどれすというものをきるらしい。まっしろでひらひらしたおようふくはきっとようたろうくんのおとうさんにとってもよくにあう。ようたろうくんのおとうさんはしろがとってもにあうひとなのだとおもう。あまりしろはきないと、ようたろうくんはいっていたけれど。もったいない、とおもう。きっとしろいふくをきたようたろうくんのおとうさんは、とってもかわいいのに。
 ぼくはようたろうくんのおとうさんとするけっこんしきをたくさんかんがえた。うえでぃんぐどれすはなにいろでもあるみたいだったけれど、やっぱりようたろうくんのおとうさんにはしろがにあうとおもった。まっしろなひらひらのおようふくをきたようたろうくんのおとうさんはぼくをえがおでみつめている。ひげをそったようたろうくんのおとうさんは、ようたろうくんのおとうさんというよりようたろうくんのおにいさんみたいだった。おんなじいえにぼくたちはすむ。おかあさんがおとうさんにいうみたいに、ぼくがしごとからかえってきたらあなたおかえりなさい、とようたろうくんのおとうさんがいう。えぷろんをして、おいしいごはんをつくってくれる。ほっぺについたおこめをとってくれる。そのままたべて、ちょっとほっぺたをあかくする。ぼくとようたろうくんのおとうさんはおんなじべっどにねて、ようたろうくんみたいなこどもが、おとうとみたいにくしゃくしゃのかおでうまれてきて、びょういんにいるようたろうくんのおとうさんによくがんばったね、っておとうさんみたいにいう。
 とってもしあわせだなあ、とぼくはおもった。
 おとうさんがえらくなっていいしごとについて、すきなこをあんしんさせてあげるんだぞ、といった。ぼくはおおきなこえで、うん、とうなづいた。

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きみのいるせいかつ 陽レイ

 子供というのは成長が早い、と木崎レイジは思っている。思っているからこそ、このごっこ遊びに付き合っているのだろうと思う。思う、のに。
「レイジ」
幼い声がレイジを呼ぶ。まるで当たり前のことのように呼ぶ。
「レイジ、大好きだ」
 この当たり前が失くなってしまう日は、きっともうすぐ。



好きなものにリボンを結び おまじないを閉じ込める どうぞずっと私のそばに 永遠のようでいて下さい / 甲斐みのり

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ひまわりの葬列 迅三輪

 三門市に火葬場はない。正しくは、あったけれども大規模侵攻で壊されてしまって、それからは新しいものを作ることもしなかった。恐らく上層部のいろいろな思惑があって故のことなのだろうと思うけれども、基本的に三輪秀次はボーダー上層部のやることは、玉狛を除いて大体正しいことなのだと思っているので何も言わなかった。火葬場を新しく作るというのはこの町に新しい死人が出るということで、新しく出る死人というのはきっと近界民とそのまま直結するイメージだったのだろう。そんなことをしなくても人は死ぬのに、きっと町の人々は近界民と死をイコールで結んでいるから。
 そんな中で、三輪は隣人が死んだことを知った。回覧板で回ってきた訃報。病気。葬式は隣町でやるらしかった。行ってくるから夕飯は買って食べて、と渡されたお金に緩慢に頷く。
 コンビニのうどんで良かった。だから防衛任務の帰りにコンビニに寄る。何故かそこには迅がいて、いつもの菓子を買い占めようとしていた。
 何を思ったのか、生きてるよ、と迅は言った。まるで信じられないな、とだけ思った。



生き延びてしまったような顔をしてひまわりを抱くあなたが好きよ / 田丸まひる

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僕らのスローソーダライフ 三輪米

 別段、三輪秀次のことを心配しているかと問われたらそうではない、と俺・米屋陽介は答える。そもそも心配するようなことはないと思っていたし、近界民に家族を殺された人間は幾らでもいるし、それこそ言ってしまえば珍しくもなんともないし、つまるところボーダーというのはそういう場所だった。恨みもつらみをすべて飲みこんでしまうその場所にすげえなと思うことはあっても、怖いと思うことはなかったし、そういう場所に居場所を見つけられた秀次によかったなと言葉を掛けることはあってもかわいそうなどと思う意味もなかった。だけれども、と自販機の前に立つ。あまり秀次は自販機を利用しない。俺がやたらと利用していることもまああるだろうが、それにしたって秀次は飲み物を飲まない。付き合いで買ったとしてもコーヒーか水だ。水なんて、水道を捻れば出てくるはずなのに。
 だから水色の缶を買う。そしてそれを思い切り振る。それから何も見ていなかった秀次にこれ差し入れ、と差し出す。次の反応に、構える。炭酸振ったら弾けるなんて、分かっていてやる悪戯。お前が怒ってくれるなら、近界民の駆逐なんてそんな大層なものじゃなくて、こんな馬鹿な俺のために、怒ってくれるのなら。
 それ以上に幸せなことなんてないんだよ、秀次。

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20170323