はじめまして、おひさしぶり。 燭へし

 その日は下水道が壊れていた。
 城中にいやな匂いが漂って、それで息をするのも億劫だった。だから呼ばれた時も大分曇った顔をしていたのだろう、ごめんね、と謝られた。きっと知ってるだろうから。そう言われて、顔を上げた先は。顔見知り、とでも言えば良いのか。それを見たのは初めてだったけれど。
 従順なる刃の下にはりついた殺意というものは、人間の形をとるとこうも美しくなるのかと思った。息がつまるのは下水道の所為ではない。そう分かっていたから顔を背けて、名前を聞くより先に分かってしまったことを誤魔化すように。
 その唇が自身の名を綴るのを、ただ待った。



顔見知り、下水道、従順なる
ライトレ

***

誰にも渡さない 安清(+主♂)

*闇堕ちネタ

 緑の光が向かってきた。
(避け…ッスピード、速…ッ)
避けられ、と最後まで思うより先に、閃く切っ先。飛んだ腕。憑依の色が消えていく。
「…主、大丈夫?」
 意識を失った相棒を抱えて、その赤は美しく笑ってみせた。



ライトレ

***

春の庭 三日主♀

 春が手に入ったと大喜びする少女につられて微笑むと、ありがとう、と言われる。
「貴方のおかげで手に入ったの」
「おお、そうか」
「だから何か、お礼がしたいと思って」
寄席とか、興味ある? 問われて頷く。
「だが一人でいくのはな」
「誰かさそう?」
「出来るなら、」
手を取る。
「お前と一緒に行きたいものだが」
 ひら、と桜が待っていった。それと一緒に頬が染まっていく。台所から、今日の夕飯は肉だぞ、という元気な声が聞こえた。



ライトレ

***

最後は私と 燭鶴

 記憶があるかないかと問われたら、ないのだけれども。このひきつれた皮膚が、それをなかったことにはしてくれない。
「痛いな」
それを優しく撫ぜるその満月に笑う。
「今度は焼けるのではなくて、溶けるのが良いなぁ」
「任せろよ、君の願いなら叶えてやるさ」
 彼ならきっと叶えてくれるだろうと、そうしてきっと溶けるのならば、一緒に昇っていける、そんな気がした。



http://shindanmaker.com/375517

***

本物と偽物 みかつる

 俺は偽物だ、と三日月宗近は言った。そうか、と鶴丸国永は返した。
「じゃあ俺を好いていると言ったその心も偽物か?」
「…いいや」
 ならば君が偽物でも愛そう、そのやわらかな言葉に笑った。この上なく赦された気分になって、笑った。


http://shindanmaker.com/375517

***

かわいいかわいい僕の主 沖田+清光

 自分が扱いづらい刀なのだと生まれながらにして分かっていたのだと思う。だからこそ、自分を手にして微笑んだ、その人の笑みが、今も尚、この瞼の裏にくっきりと焼き付いているのだ。いや、当時瞼があったかというと、なかったのだけれども。
 その話をすれば、その与えられた(もしくは望んだ)外見にそぐわず嫉妬深い相棒がとんでもない顔になるだろうことは分かっていた。だってあの時、彼はいなかったから。彼は、知らない。
―――かわいい、刀だね。
あれは、どういう意味だったのだろうか。手のかかる、という意味だっただろうか。今でもひとの心など、推し量れやしないけれど。あの、笑顔のことは。
 清光だけは知っていれば良い、大切な記憶なのだ。



お題「沖田くんと加州清光」

***

前任者の所為でとばっちり 審神者

 超過労働をさせるところをブラック、だなんてよく言ったものだな、と思う。殺伐とした空気なんか隠そうともしない廊下に、荷物を置いて一息。
「どうもこんにちは!」
大きな声で挨拶をする。殺気が突き刺さる。
「新しく此処に派遣されました天野です!」
 さて第一印象は如何に。



廊下、荷物、ブラック
ライトレ

***

大嫌いよ君なんか たぬ主♀

 降り積もる祈りは女の子を形成するのよ、と彼女は笑った。そういうところは貴方たちと似てなくもないわね。くるくると雪の庭で回る彼女に、お前は人間だろうと言うことは結局出来ずじまいだった。



祈り、女の子、降り積もる
ライトレ

***

死なない君のことがこんなにも憎たらしい 鶴主♀

 人生に事件はつきものだろう、とのつぶやきが拾われていたのは知っていたがまさか。包丁を腹に突き立てられることになるなんて。
「…く、はっ」
笑みが漏れる。
「どう? 驚いた?」
「ああ、とても」
「良かった。じゃあ手当てしようね」



ライトレ
つぶやき、事件、人生
***

この恋だけは譲れない 宗へし

 お前のそれは恋じゃないだろう、とまるで本当にひとの心の中が見えているかのような様子で、そう断言する彼にあまりに腹が立った。そのまま殴っても良かったのだが、それではきっと彼は図星を指されたのだと嘲笑うことだろう。
 それでは、宗三左文字の気が済まないのだ。否、これはそういう問題ではないのだったが、それでも宗三左文字は退くことは出来なかった。これは勝負だ、おそらく最初で最後の勝負どころだ。出来るだけ優しく、そして余裕があるように見えるよう、手を伸ばす。
 触れた手は退けられなかった。
「ちがいますよ」
悲しそうな顔なら得意だ、同情を買うのだって得意だ。いつものように笑ってやれば、相手は勝手に勘違いをする。宗三左文字の領域に、誰も立ち入らせない笑い方が、出来る。
「へし切長谷部」
けれども、それでは意味がないのだ。同情以外のものを彼から勝ち取って、それで、宗三左文字という存在を刻み込んでやりたい。
 へし切長谷部は動かなかった。動かないのならば貴方も同罪ですよ、とそう言ってやっても動かなかった。
 触れた先から熱くなっていくようだった。嘘になんか、してやれなかった。



(ほら、だから言ったでしょう)

GHQ!!
https://twitter.com/GHQkitakubu

***

20150410
20150806