嘘みたいな現実で生きてるなんてひどい冗談 

 君がね、とにっかり青江は話し出した。
 君がね、死んでしまったら―――という表現はおかしいか、折れてしまったら、僕はとてもかなしいとおもうんだよね。唐突にそんなことを言い出したにっかり青江に蜻蛉切は大層驚いたようだった。それを感じながらも、にっかり青江は喋ることをやめない。あのね、かなしいとおもうと思うんだよね。にっかり青江は繰り返す。君は君で、蜻蛉切で、三名槍の一つで、君であるものはこの世界の何処かにいるって知っているのに、この身体は仮初のものなのに、それは僕も一緒で、何一つ変わらなくて、だからこそ僕はそれをよく知っているのに。それでもね、かなしいとおもうと思うんだよ。
 僕らの概念は分祀なんてものに基づいていて、だからこそ僕らには人間に言葉で言えばバックアップとか言うやつなのかな、そういうものがあって。もしもこの僕が、その君が、折れてしまったとしても、君はまたやって来るしそれは紛れもなく蜻蛉切だし、僕も同じようにやってくるしそれは本物のにっかり青江なのに、さ。
 馬鹿馬鹿しいよね、と呟いた。こんなこと言うなんて、当たり前のことなのにさ。
 当たり前を当たり前にしておけなかったのは、今朝方みた夢の所為なのだとは、言えずにいた。



ねぇ、愛するだれかが死んだ時に、それが紙とインクからつくりあげられた平面の概念でしかないのに、雑誌を抱えて泣いて、線をたどって泣いて、手紙をしたためて泣いて、そしていくつも彼に対する詩を書いて、絵を描いて、追悼のためにひとりでコピー本なんてつくっちゃうんだよ。それは葬儀だよ。
紅玉いづき

***

信じたものが真実だ

 うんめい。
 そんな便利な言葉を知った時、ああこれだ、と思った。この関係性を表すにはきっと、この言葉がぴったりだ。なくしていたパズルのピースをやっと見つけたような、そして拾い上げて最後の場所に埋め込んだような、そんな気がした。
 気がしたのに、やはり何処かに違和感があるのだ。そう、まるで。
「にっかり殿」
振り返る。
「なあに、とんぼくん」
もう後ろを取られるのも慣れてしまった。彼が敵に回らないことを、現実で敵に回らないことを、願うばかりだ。
「少しお時間をいただいても?」
「いいよーなんの話かな?」
軽い足取りで近付いていく。
 まるで、本当は最初からそんなパズル、持っていなかったかのような、そんな違和感があるのだ。



赤き糸にはあらねども人形と人形遣い結ばれており / 松野志保

***

ねえねえ生きるって一体どういうことですか 

 人の身を持って、初めて言葉というものの使い方を覚えたように思う。勿論それまでに持っていた心というものは確かに言葉によって形成されたものかもしれなかったが、存在として認識をして、それを使って何かしらを成し遂げると、そういう使い方を覚えたのは、やはりこのような身になってからだった。
 戦いを。
 正しい未来を守る、なんていうやたらと可愛らしい理由で呼び出された刀剣の付喪神たちが、人間のために、人間の代わりに戦う。そんな中で、少しでも戦に役立てばと、主が刀剣たちに教えた一つのゲーム。
 人狼。
 そう呼ばれているそのゲームは、主が思っていたよりもずっと刀剣たちにうけたようだった。毎晩、とまではいかないが、様々な刀剣がそのゲームに参加し、時にはそれで培ったものを実際の戦に生かしている―――にっかり青江は残念ながら、未だそんな段階に達してしなかったけれども。
 そもそもまだ、喋るということが苦手なのだな、と思った。誂うような言葉を放つことは、まだこうした身になる前に何度か人間の真似をしてやってたが故に、出来ないことはないが。そこに戦略というものが絡むと、どうにもそちらへと思考が振られてしまっていけない。宗三左文字なんかにはもっと余裕を持てば良いのに、と笑われる始末だ。それが出来たら苦労はしないよ、と返しながら唇を濡らす。
 いつか、この舌が乗せる言葉が。
 本当に、武器になるのなら。
 視線を感じてふっとそちらへと顔を向けると、やはり、予想通りの顔が視界に入った。もし、もしも、まだ使い方を知ったばかりのこれを使いこなせる日が来たら。戦場を駆けて、支援をして、ゲームをやって―――触れ合って。
 まるで人間のように、言葉がこの舌に馴染んだら。



image song「爆弾の作り方」amazarashi

(君にも届くかな、刃のように、僕のほんとうのように)

***

次の言葉が出てこない 

 掴んでいた裾はやさしく、これ以上なくやさしく解かれた。どうして、と言いたかったのに、その言葉すらでてこない。はくはくと唇が震えることすら、ない。
 時が止まったかのような。
 雷鳴と悲鳴の中で、僕たちの間だけ、違う世界みたいに。
―――何も、変わりませぬ。
その言葉だって、なにか可笑しいと感じるのに、僕は何も言えずに。
 解かれた指は離された。それはそのまま拒絶のようだった。
「風邪をひきますから」
すべてなかっことのように、笑わないで欲しい。
 そう思うのに背中を押されて、短刀たちに一緒に風呂へ行こうと捕まってしまえば、もう振り返ることも叶わなかった。



まよ中
https://twitter.com/maynaka_

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*宗へし含む

 お慕い申しております。
 いつもと同じ優しげな声が、次の瞬間には雷に消されて余韻も残らなかった声が、夢のようににっかり青江の脳裏を廻(めぐ)っていた。

こころの在り処 

 蜻蛉切から思いがけない言葉を貰ってからも、確かに彼の言った通り何も変わらなかった。彼が何故そんなことを言ったのか、それはまだ分からなかったし、その先に付け足されたにっかり青江が心配しているようなこと≠ニいうのもよく分からなかった。
 伝えたかった、だけ。
 そういう話はよくある。よくある、と言っても人間の話、だろうが。にっかり青江は人間に寄り添ってきた。だからそういう話も、聞いたことがある。返事は要らない、何か変わって欲しい訳でもない、ただ、想いを―――そういう手合がいないこともないということは、一応、分かってはいる。
 けれど、それが蜻蛉切だと言われても、素直に頷けはしなかった。
 しかしよくよく思い出して見ろ、と冷静な部分は言う。今までもそういった伏線じみたものはあっただろう、と。恋文まで貰って、でもそれが自分へのものだと気付かないで、何と言ったのだったか。
『君にこんなすてきなものをもらえるひとはきっとしあわせだねえ』
ああ、そうだ、そう言ったのだ。だがもらった恋文をそう解釈出来るほど、にっかり青江という刀剣の付喪神は鈍かっただろうか。人間に寄り添って、人間に愛された、ここまでの刃生の中で、そんなことにも気付けないほど鈍い存在に育つことが?
 気付けなかった? 気付こうとしていなかった?
 気付いていない、ふりをしていた?
 どくり、と心の臓が掴まれたような嫌な音を立てた。気付かない、ふり。それは今まで自分の中にはない考えだった。本当は、本当は。無意識の奥の底で、にっかり青江は蜻蛉切の好意に気付いていたのだろうか。その上で、彼に自分を褒めてくれることを求め、彼と眠りに落ちるまで同じ布団で語り合うなんて、そんなことを。
 宗三左文字の顔が浮かんできた。彼は、常備、と言っていたか。あの時、既に宗三左文字は蜻蛉切の想いに気付いていたのだろうか、だから、常備なんて言葉が出てきたのだろう。本当に無自覚だったのですか、あれはきっと、蜻蛉切の想いに気付いた上で褒めるように仕向けているのだと、そう思われていたということか。思わず頭を抱える。
 宗三左文字の持つ、にっかり青江へのイメージというのは、とりあえず今は置いておいて。そういうことであるならば、あの時既に蜻蛉切の好意は固まったものになっていたことになる。
「そんなに、まえ、から、」
思わず自分を抱き締める。
 にっかり青江は人間に愛された存在だった。恵まれた方だったとは思うけれども、そもそも人間のために作られた道具なのだ、愛されることに異存はない。
 だが、それが同じ存在から、となると。
「わかんないよ、とんぼくん」
―――すきって、なに。
それは人間のための感情ではなかったのか。
 にっかり青江とて、付喪神が感情を持つことに否定的である訳ではない。この城には何組か恋仲になったものたちがいて、にっかり青江は何度か含み笑いと共にお幸せにねえ、なんて言ったものだ。彼らが可笑しいと思うことはなかったし、そもそも一応は神という名を冠しているのだ。名だけでも神の末席を汚すものであるならば、あとは神話を見れば一目瞭然である。恋も愛もある、それが分かっている。なのに。
 その中心に自分がやって来た途端、何もわからなくなってしまう。
―――こころって、なんだろう?
もとを辿ればただの鉄のはずなのに、いや、それを言ってしまったら付喪神なんて存在の定義から覆ってしまうのかもしれないけれど。
 自分一人でぐるぐると考えていてもしようがない。だからと言って、蜻蛉切に訊ねることも出来ない。ならば、と立ち上がる。
 この状況で、にっかり青江が何か問えるのは、一人しかいなかった。

 訪ねた部屋には丁度よく目当てのものと、目当て以上のものが仲良く茶を飲んでいた。仲良く、なんて言うと彼らは怒るかもしれないので、流石にそれを言葉にすることはしないが。
「どうしたんですか、急に」
「ちょっと聞きたいことがあってね」
とりあえず座ったらどうです、と座布団を出してくれた宗三左文字に礼を言って、にっかり青江はそこに座る。彼と一緒に茶を飲んでいたへし切長谷部はにっかり青江の分も茶を淹れてくれたようだった。それにも礼を言う。
 一口飲んで息を整えてから、にっかり青江は切り出した。
「ねえ、君たちはさ、どうして恋仲になったの」
ぶふっと吹き出したへし切長谷部の横で、宗三左文字もびっくりしたような顔をしている。
「気付いていたんですか」
「え、逆に何で気付いてないと思ってたの」
「蜻蛉切の気持ちに気付いていないようでしたから」
「………それを、言われると、何も言えないなあ」
 何かあったんですね、と問われてこくり、頷く。
「告白でもされましたか」
「告白っていうか、殆ど一方的に言われただけだったんだけど」
はあ、あの蜻蛉切が、と笑う宗三左文字は楽しそうだ。僕のことはいいから質問に答えてよ、と若干八つ当たり気味に言うと、はいはい、と苦笑が返って来る。
「どうして恋仲になったか、ですか」
 難しいことを聞きますね、と宗三左文字は口元に手を当てて考え込んだ。へし切長谷部は我関せず、とばかりに二杯目の茶を注いでいた。こちらは答えてくれる気はないらしい。
「そうですね、元々僕らには此処へやって来る前から面識がありましたし、それで話す回数というのも他の刀剣よりは多かったんですよ」
「それを言ったら薬研くんだってそうだろう? 燭台くんだって長谷部くんと仲良くしてるじゃないか」
「それだけじゃない、と言いたいんですね」
「それだけじゃない、んだろう?」
まあそうですけど、と宗三左文字は頷く。
「でもそういう下地があって、共有する過去について話をして、酒を飲んで、そうして距離が縮まっていったのだと、僕はそう思っています」
「きょりが、縮まった」
「はい」
 僕にも実のところ、よく分からないんですよ、と宗三左文字は笑った。
「正直なところ、僕の中のこの感情が果たして本当に恋や愛の類であるのか、分かりませんしね」
「長谷部くんは?」
「………同じだ。もしかしたらこれは憎しみかもしれないしな?」
「おや、ひどいことを言うのはこの口ですか?」
宗三左文字の指が、へし切長谷部の唇をむにっと挟んでアヒルのようにする。
 それに笑いながら、にっかり青江は立ち上がった。
「答えてくれてありがとう。いちゃつくのなら邪魔になる前に僕は退散するよ」
「別にいちゃついてはいない」
「いちゃついてませんよ」
「………君らって、」
障子に手をかけながら、にっかり青江は最初こそ飲み込んだ言葉を吐き出す。
「仲良しだねえ」
「どこがだ」
「どこがです」
そういうところがだよ、とは言わないでおいた。
 静かな廊下を辿りながら、にっかり青江は先ほどの言葉を繰り返していた。
「恋じゃないかもしれない」
しっくり来ない。
「憎しみかもしれない」
これも、違う。
 じっと、いろいろな感情の名を挙げ連ねて、自分の中にしっくり来るものを探していたが、ついにこれだというものは出てこなかった。確かに、にっかり青江の中には蜻蛉切に対する明確な感情があった。それが何なのか分からないと、そう思うことを蜻蛉切は分かっていたから何も変わらないと言ったのだろうか。
 そう思ったらなんだかひどく悲しくなった。今まで通り、何も変わらず彼が笑うのだということを思ったら、余計に悲しくなかった。

***

明確な気持ちはないけれど 

 庭に面した縁側に座ってお茶をのんで、それで花をきれいだね、なんて感覚を共有して。それだけでいいと思っていた。それだけで充分だと、そんなことを思っていた。
 でもきっと、それは君にとっては残酷なことなんだ。それを、誰に言われるまでもなくわかっている。僕は残酷だ。 僕が楽な方向へ、彼に導かせようとしている。
 それは。
 甘えなんてもの、より。
「とんぼくん」
「何ですかな」
この先の言葉が形になるのはもう少し先かもしれないけれど。
「あの花、きれいだねぇ」
 今は、それに、ただ頷いて。



そして少女は夢を見る
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***

ヘブンリーブルー 

 この城の庭はどうやら不思議な力によって制御されているらしく、主が設定を変えることで四季が変わる。此処に審神者として着任している人間はどうやら四季がしっかりと順番通りに来ることを望んでいるらしく、外の世界とそれはそう差異がないように入れ替えられていた。
「きれいだね」
 秋の庭。
 その中にきらめく、まるで夏を置き去りにしたような青の花。
「朝顔なんだって。こんなに昼間に咲いてるのに」
「そうなのですか」
知りませんでした、と言う彼はきっと笑っているだろう。
 半年、近く。その月日の流れを思いながら、にっかり青江は歩き出す。きれいな青の傍まで歩いて行って、それを近くで眺めるふりをする。
「半年、近くかかってしまった」
実際、眺めてはいた。だがその青はにっかり青江の瞳に映るばかりで、それ以上に働きをしない。人間は花を見て楽しむのだと言うが、にっかり青江は別に、それを見て楽しんでいる訳ではない。
「僕らにはそんな時間、大したことなかったはず、なのに」
刀剣として、付喪神として、人間に寄り添って来た時間はもっとずっと長かった。
「ねえ、とんぼくん」
だと言うのに、ひどく長かったと、そう思うのはどうしてだろう。
「僕は、君が、好きだよ」
 声が震えていないか、それだけが心配だった。
「好きなんだよ」
心の底から、言葉を発するのはこんなにも怯えを伴うものだったのか。振り返ることが出来ない、本来ならば、こういうことは相手の目を見て言わなければいけないはずなのに。
 彼が、そうしてくれたように。
「待たせてごめん」
それでもにっかり青江は振り返ることが出来なかった。蜻蛉切が、どんな顔をしているのか見る勇気がなかった。半年、半年だ。その間に庭は二回三回模様替えをした。
「君の気持ちが、変わっていないと良いのだけれど」
背後で、足音がした。花を眺めているふりをしていたにっかり青江に、蜻蛉切が近付く音だった。足音を立てるなんて珍しい、と思いながらそれに全神経を集中させる。
 彼がこのままにっかり青江を抱き締めてくれることを、願いながら。

***

それはわたし、 

 夢を見る。
 何かを食べている夢だ。いや、これはにっかり青江の頭の中だけでの整理をつけるだけの問答なのだから、取り繕う必要はないだろう。思い直す。何か、ではない。誰か、だった。それは人の形をしていた。けれどもそれは人間ではなかった。
 にっかり青江と、同じ。刀剣から喚び出された付喪神。彼の名を、にっかり青江は知っている。とてもよく、知っている。
「とんぼくん」
彼は返事をしない。当たり前だ、彼はにっかり青江に食べられているのだから。食べるのに彼が生きている必要はない。
 化け物の如く、にっかり青江は彼の肉をついばんでいた。死肉を喰んで、その味なんかまったく分からなかったけれど。ゲームの所為だ、とにっかり青江は思う。人間の形をしたものが人間に紛れて夜ごと彼らを喰らっていくゲーム。それをしているから、こんな夢を見るのだ。そうでなければ、そうでなければ。
 そう思いながらにっかり青江は本当のところ、よく分からなくなっていた。これが本当はゲームに影響されて入り混じった夢などではなく、にっかり青江の底に潜む願望かもしれないと、その可能性を強く否定することが出来なかった。



誰かが私の頭の中の彼を殺して食べている / @altblanc

***

間違ったステップを踏んで 

 その胸に頭を預けながら、ああしあわせだなぁ、と思う。ここはこの世で一番安全な場所だ、と。
それ以外にあってはならない、あってはならない。
「とんぼくん」
むにゃり、と自分の声が震える。ねむたい。
「抱き締めて」
「…抱き締めておりますよ」
「もっとつよく」
困ったような空気。
「…おねがい」
頭を擦り付けると、困ったように名を呼ばれすこし、少しだけ腕の力が強まる。
 これで、これで良い。
 そう思って、瞼をぎゅっと閉じる。
 ここは、世界で一番すてきな場所だ。世界で一番、にっかり青江にとってしあわせな場所だ。



青色狂気
https://twitter.com/odai_mzekaki

***

心の奥底、深淵の闇 

*宗へし含む

 「本当にそんなものがあるのなら、触れない方が良いのでしょう」
宗三左文字はそう言った。にっかり青江はそれを聞きながら、ふうん、と頷いてみせた。
 彼がこんなことを言うのはきまって、へし切長谷部と何かしら喧嘩したあとだということを、もうにっかり青江は知っていた。
「宗三くんはさ、触れたの」
「いいえ」
「じゃあ触れそうになったの」
「…貴方、本当に要らぬところで聡いですよね」
はぁ、と吐かれたため息は肯定。
「…そうざくんは、さ」
彼らの抱えるものを、知ろうという気はなかったけれど。
「それが、こわい?」
どう答えてくれるだろう。なんとなく、宗三左文字はにっかり青江に甘いところがあると感じていた。
 にっかり青江は知りたかった。好いた相手の奥底を、深淵を。それに触れたり触れそうになったり―――触れたいと、願うことは。どういうこと、なのか。
「…そう、ですね」
言葉が、繋がる。
「恐ろしいのは、相手の深淵ではないのでしょう」
「じゃあ、何が恐ろしいの?」
じっと、色味の違う双眸がにっかり青江を見つめていた。まるで今の言葉の真意を推し量ろうとしているかの如く。
「…宗三くん?」
「ああ、いえ」
にこり、笑われる。
「貴方が一番に信じているものは何か、貴方が信じているなんてことも忘れるくらい、盲信しているものは何か。それを考えてみたら、僕が恐れるものがなんなのか、分かるかもしれませんよ?」
「謎かけかい」
「そう教えてたまるかという話です」
やすやすと教えるようなものでもありませんからね、と言われてしまえば、なるほどそうだなぁ、と頷くしかない。
 信じているなんてことも忘れるくらい、盲信しているもの。
 それは、一体何なのだろう。



ぽつりと吐いて、
https://twitter.com/__oDaibot__

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20150716