空想の海


 仕事なのだから、と押し倒された身体を起こすことはしなかった。一人、二人、三人、四人。成人すらしていない子供に寄ってたかって大の大人がこれとは、とため息が出そうだった。勿論、そんな真似はしないけれども。
 目的は、足止めだった。たまたまそういう嗜好の人間がかたまっていて、たまたま彼らの好みのタイプに鈴木伊織が合致していただけのこと。下された忍務は忠実に守る。だから、這い回る指を好きにさせている。甚振るように触れてくる指に、苦しそうに声を上げることも忘れない。こんなのは痛みのうちにすら入らなくても、いつだって肩や脇腹に歯を立てられることに比べれば耐えるのは簡単すぎるものだったけれど、それでも男たちの注意を引き付けるためにも痛みに呻く演技はしなければならない。自分の身体なのだから操れて当然だ。ぐちぐちと遠慮の欠片もない指に気持ちよさそうな声を上げ、指の代わりに性器を挿し込まれれば嬌声めいたものを上げてみせる。
 こんなものは出来て当たり前だ。知らなかった頃とは違うのだから。
「や、おかしく、なる…ッ」
そう声を上げてやれば、薄ら笑いの気配を感じた。此処がいいのか? と勘違いしたような声がして、執拗に中を擦られる。半開きにした口からは唾液と共に悲鳴が漏れ、腰が耐え難い、といったように震えた。男たちはそれが嘘だなんて一欠片も思っていない。
「も、もっとぉ…」
消えそうな、でも確実に耳に届くように調整した声の裏で思うのは、はやく終わってくれないだろうか、ということだけだった。



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缶コーヒーの飼い方


 鈴木、と呼ぶといつか後輩の役をやっていた少年はまだ幼さを残したままはい、と返事をして近付いてくる。その妙に無垢そうな仕草に、この身体の中に何度も何度も精を放ったことは全部嘘だったような気がしてくるのだから悲しい。一度だけ、と思っていたのに先輩の言うことは聞くとでも言うような顔で近付いてくるのだから、彼にも責任はあるのだと思う。
 その感情が愛情でないことは知っていた。憧憬で、彼の愛情はただ唯一、注ぐ先を決められていて。操立てをするような場所では生きていなかったから、今も彼に触れることが出来るのかもしれない。彼の憧憬をどろどろに崩して、一体その先には何が待っているのだろう。
「鈴木」
手を引いて床に押し倒す。一瞬驚いたように目が見開かれたのはサービスなのか、それとも彼の中で芝村はそういったことをしない人間、とくくられているのだろうか。
「鈴木、良いでしょ?」
忍務、入ってないよね、と言えば頷きが帰って来るけれど、だめ、と続く声が掠れていた。
「鈴木、顔隠さないで」
恥ずかしいのだろうか、と顔を覆った手を撫でる。
 ああ、本当、いつまで経っても慣れない、みたいなことをするから。



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