秋はくるくる、くれないに染まる
まるで鬼ごっこのようだったな、とへし切長谷部は思う。そうすると鬼というのは此方のことになってしまうのだが、まあ別に良いだろう。言葉の綾というやつだった。へし切長谷部は紛れもなく神の末端であり、決して鬼などではない。
故に、この行為だって許されたものであるのだ。
「主、ほら、ちゃんと見てください」
ぐぷ、ぐぷ、と音を立てて沈んでいく自らのものを、こうして見るのはへし切長谷部とて新鮮だった。
大きな鏡の前、主である少女の脚を開き、下着を剥ぎ、その濡れそぼった中心へと欲望を突き立てる。もう何度目になるだろうか、数えてはいなかった。ただ、この本丸はそういう本丸で、主とてそれは分かっているのだから早く諦めて快楽に従順になった方が良いのに、と思う。が、どうしてか主はなかなか順応しないのだった。身体の方はこんなにも男を欲しているというのに、心の方がついてきていない。
だから、へし切長谷部は認識してもらうことにしたのだ。いつも、主の身体がどのようにして欲を飲み込んでいるのか、その目で見てもらおうと思った。
「このように主の身体は喜んで俺たちを受け入れているのですよ。こうして大きな音まで立てて。身体だけではありません、主、ほら、貴方はとてもいやらしい顔をなさる。この行為を愉しんでいる証拠ですよ」
言葉を吐く度にきゅう、きゅう、とナカは切なげに締め付ける。それが分かるのだろう、嫌だ、と言わんばかりに首が振られる。
から、へし切長谷部はその顎を固定した。
「ちゃんと見てください、主」
膝に乗せるような形になっている今、出し入れの主導権は主にもあった。腰が弱々しく動いているりへし切長谷部がするのは主が前に倒れていかないように支えることくらいだ。
「貴方が望んでいるのですよ」
びくん! と一際大きく肩が揺れて、もう其処からは連鎖のようだった。
「主、ご自分の感じている姿を見て達してしまったのですか?」
「ち、が…」
「嘘はいけませんよ」
膣は正直ですね、と言えばもう、すすり泣く声しか聞こえなくなった。
では続きをしましょうか、と囁くとまた腰がふるり、と揺れる。
それでもこの少女が未だ女になりきらないのはどうしてなのだろう、とやわくその耳朶を噛んだ。
*
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蝉時雨に消ゆる
この身体に一体幾らの欲が捻じ込まれているのか、それは宗三左文字の知るところではなかった。ただ、どれほど行為を重ねても彼女が慣れることがないと、それだけが分かっているだけ。身体は対応しても心が追い付かない、それではいつか人間は壊れるだろう。
しなやかに、まるで愛でも注ぐかのように膝の上に乗せて抱きしめて、宗三左文字は諦めたら良いのに、とその腰を掴む。
「―――っは、ぁっ」
しなる背中が間に合わないほど。ごつごつ、という感触は骨と骨とぶつかる音なのか、それとも先端が奥への道をこじ開けようとしている音なのか。分からないが最早力の入らない彼女はただ自重(じじゅう)に従うしかなく、自ら宗三左文字を迎え入れる形になっている。深く、ふかく。逃げたいと身動ぐさまは見て取れるが、こうなってしまえばそれだって彼女を追い詰める行為にしかならない。自分で自分の首を絞めているのだと分かっていないのか、どうして、なんで、と泣き声に消えていく。
―――ああ、
宗三左文字はそれを見ながら再び腰を掴み直す。
―――可愛らしい。
「貴女は本当に可哀想ですね」
宗三左文字の言葉の意味は分からなかったのだろう、それでもそのままただ縋る場所を求めて細い首に縋り付くのは、彼女がそうするしかないからだった。
*
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地獄にすら至らない
どうしてこんなことになったのか、なんて考えるだけ無駄だ。最初からそうなるように決まってた、それが事実で現実。明石国行が私を縛り上げるのだってそう決まっているからだし、この行為が審神者業、ひいてはこの本丸運営に影響が出ないということはもうわかってしまっている。逆に良い方に転がっているのではないか。流石に其処までは教えてもらえなかったけれど。
もしもこれがただの実験だったら。そっちの方がきっと私にとっては良かった。そうであったら私はただの被害者でいられたし、来るはずのないいつかを夢見て壊れていくだけで良かった。
でも、現実はそうはいかない。
私は確かに搾取される側ではあるけれど、だからと言って完全な被害者でもなかったし、何よりも壊れることが出来なかった。私は私のまま、この地獄に染められていく。ぴくり、と身体が動くのは私の意志ではないはずなのに、私は私の身体が憶えたことを知ってしまっている。だから唇を噛むのだ。
「そんなしたら痛いでしょうに」
ふにり、と明石国行が私の唇をやわやわと指でほぐした。どうしようもない私はその指に舌を這わせようとしてしまう。そんな真似が許されるはずがないのに、私はこの本丸の審神者なのに。
舌がきゅ、と動きを止めたのが分かったのだろう。明石国行はいつもの柔和な表情で、舐めてくれんのですか、とだけ呟いた。問いですらない、ただの呟き。電子音にかき消されていくような、小さなもの。
でも此処には私と明石国行しかいなくて、だからどうしても、私の耳はそれを拾い上げてしまう。そんなことしなくて良いのに、こうなってしまったら明石国行しか助けてはくれないのだと、そんなふうに思ってしまう。
小刻みに振動するのはそういう玩具だった。胸を嬲るそれの力は弱く、散々躾けられた身体は必死になってそれの感覚を追い求める。
―――足りない、
そんなことは分かっている。私だって馬鹿じゃない、学習能力がない訳でもない。他の人がどうかなんて知らないけれど、一回スイッチが入ってしまったら発散するしかなくなるし、耐えてどうにかなるものでもない。
「分かります?」
明石国行の指がとんとん、と腰をなぞっていく。一応の自由がある足で彼を蹴ることは可能だっただろうが、私にはそういうことは出来なかった。
「腰、揺れてます」
私は答えない。明石国行は気にしないようだった。
揺れてるんですよねえ、と言いながら、柔らかく足首を持って開いていく。元からバランスの悪い状態であった私は、もうそれで、完全にひっくり返ってしまう。
背中が、床について。
縛り上げられた腕がぎちり、と圧迫される。
そんな体勢で足を丸めるようにして持ち上げれば自ずと、それは明石国行の眼前に晒される訳であって。
「良え眺め」
舌なめずりの音が聞こえた気がした。私は目を瞑ってしまったので気の所為だったのかもしれない。
「濡れて、ますね」
そう言いながら数度往復した指が下着を退かして、やっとのことで直接的な刺激が与えられる。
「―――ッ、ぅ、はぁ…」
声を抑えられていたかもよく分からなかった。
でも、それはすぐに勘違いへと変貌する。
「ん、ん―――」
明石の指は浅いところにしか行かなかった。もっと、と思う。頭がチカチカする。くちゅくちゅ、と水音が響いて聞こえて、私の身体がはしたなくそれ以上を欲していることを理解した。
こういった行為の中で、私は何度も何度も私ははしたない人間であるのだと自覚させられている。これが、ただの、洗脳であったら。私はそれはそれで幸せだったのかもしれなかった。けれどもこれは洗脳ではない、そう思うことこそ、とは思うけれども、私の身体が既に快楽に従順になっているのは紛れもない事実であるのだ。
「はー、と…此処だけでもきもちいですわ。あったかくて、こたつに入ってる時思い出します」
くちゅり、と浅いところをかき混ぜる指は緩慢だ。拷問のようですらあった。唇が震える。
「………も、」
「も?」
明石国行が繰り返したところで、はた、と思考が戻ってきた。
今、何を言おうとした?
震える私をやはり気にすることなく、明石国行の指は同じ場所に留まっている。いやらしい水音を立てながら、けれども私が確かに欲しい場所へは絶対に入らないように。目に膜が張っていく。何も考えられなくなりたいのに、私にはそれがどうしたって出来ない。
圧迫された腕で、拳を作る。何を傷付けることも出来ない拳。
「主はん?」
「あ、かし…」
「何ですの」
「………ッ、も、っとぉ…」
「もっと?」
「も、もっと、おく…まで…」
ぱた、と涙が落ちる。明石国行が頭上でそうですか、とだけ言ったのが聞こえた。
それはひどく、色のない声だった。
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