emotion



 体格差のこともあって、とりあえずセックスについては保留、ということになった。しかしやはり直接的な触れ合いというのは安心するもので、結局は手探りで進めている。ランバネインとしては先生がそう引け腰でないのだけでも万々歳なのに、それ以上が望めるなんて明日交通事故で死んでもおかしくない、とすら思っていた。触れても先生が逃げない、それがどれほど幸福なことか、ランバネインはどうやったら先生に伝えられるのだろう。別に前≠ナ逃げられていた訳でもないのに、そんなふうに思ってしまうのは、やはり体格差の所為のような気がした。特別大きなランバネインと、特別小さな先生では、どうしたって諸々が凶悪な武器に見えてしまっても仕方あるまい。
 だから、たどたどしくも先生が手を伸ばしてきた時にはそのまま失神しても良いとさえ思った。先生の手が、触れている。
「…ランバネインくん?」
硬直したランバネインに疑問を抱いたのか、先生が顔を上げる。
「あんまり、こういうの、加減が分からなくて」
痛かったかい? と問われて、思わず、先生からの刺激なら痛みですら嬉しい、とこぼしてしまった。いや、それはやめなね、そういう趣味じゃないなら、と怒られる。
「ちゃんと勃ってるだろう。大丈夫なのは先生でも分かることなんじゃないのか」
「だめにならない、というのは分かるけど、気持ちいいかどうかはほら、別問題だろう」
先生がそんなことを考えているなんて、と眩暈のする心地だった。このまま抱き締めてキスをして蹂躙してしまいたいのをこらえる。先生が触れてくれているこの幸福を甘受することを考えたら、その程度、大した努力ではなかった。
「正直、今はもう先生が触れてるというだけで興奮する」
「………僕としては猶予期間になるから良いけどね」
 研究にはならないからか、なかなかよく分からないんだよね、と先生はランバネインを観察しているようだった。どんな動きならランバネインが気持ちいいのか、そういう細かいものを。
「先生」
それが分かったらたまらない気持ちになってしまう。
「俺は、俺が思ってるよりもずっと先生のことが好きみたいだ」
「うん? そうなの?」
「だって、」
「うん」
「先生、俺に気持ちよくなって欲しいと思ってくれてるんだろう」
「うん」
そりゃあ当たり前だろう、と先生が顔を顰めるのがこんなに幸せなことだなんて、きっと前のランバネインは知らないのだろうと思うと、少しだけ優越感が湧いた。