世界で一番優しい茶番
愛し合っているとか、そんな美しい理由がある訳じゃあなかったけれど、だからと言ってこれが強姦である訳でもない。単に制欲処理なら女を買えば良いだけで、だから面倒なことをしている時点で何らかの感情はあるのだろうけれど、どうしたってこれは愛にはならない。なれない。
性行為なんて、少しの思いやりがあれば誰とだって出来る行為だった。それを言ったら同期の男―――尾形は笑って、なら証明してみせろよ、と言った。だから証明してみせただけ。それからも定期的にこの関係が続いているのだから、尾形だってそれなりに僕の証明を受け入れたってことなんだろう。
しかし、と思う。
随分と反応が馴染んで来たな、と。尾形にそういう才能はなさそうだったから、やはりこれは僕の思いやりの結果なのだろう。激しく抜き差ししてやると、その快楽から逃げるように、無意識に尾形が浮き上がる。それを見て、わあ、と少し嬉しくなった。僕もなかなか力がついてきたんだな、と思う。こうやって尾形を浮き上がらせるなんてこと、最初は出来なかったのに。
押し出されるような尾形の精液が、たぱぱ、とその腹を汚していく。勿体ないなあ、とは思う。これが欲しい女が一体この世界に幾らいるか。それなりに整っている部類であろう尾形は結構人気だ。そんなことを思いながら達した感覚から抜け出せない尾形を、好き勝手に押さえつける。流石に抉るような動きに、尾形の瞳にも涙が浮かんだのが見えた。何て言うんだっけ、こういうの。鬼の目にも涙、で良いのかな。
腰は押さえつけているから、尾形は逃げられない。否、僕よりも尾形の方が力はあるのだから、これは尾形が逃げない、のだった。
だから、言う。
「だめ、じゃないでしょう。尾形上等兵」
悲鳴に似た嬌声を聴きながら、僕は問う。
「僕のこと好きですよね?」
思ってもいないことを、望んでもいないことを、この舌の上に甘い茶番として、乗せる。ただただ逃げたい尾形はこくこくと必死に首を縦に振って、ああ、これは正気に戻ったら頬を抓られるくらいはするだろうな、と思った。
「ならちゃんと受け止めてくださいね」
だめ、という言葉はもう重ならなかった。
「意識、飛ばすな」
僕はそんなことはとうてい出来ないことと分かっていて、そんなことを言ってみせるのだ。
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