つかんだ右手があまりにも小さくて
まるで犯しているようだ、と思う。
ランバネインと先生は間違いなく相思相愛であって、これは合意の上の行為ではあるのだが、やはり体格差のこともあって捕食行為に見えるな、とランバネインは冷静に思う。いや、そんなことを思ってる時点で何も冷静ではないのだが。向き合っていても結局はその小さな身体をシーツに縫い付けるのであっても腕の中に閉じ込めるのであっても、どうやったって先生が其処から逃れることは出来ない。だからこそ気をつけてはいるのだが、何をどう気をつけたって先生が苦しそうなことには変わりはないし、恐らくそれはこの先もきっと変わらないのだろう。
「らんば、ねいん、くん…?」
何か無駄なこと考えてない? と頬を掴まれる。
「先生は、」
「う、ん」
「苦しくないのか」
「ない、と言ったら、嘘になるよ」
「…そうか」
「でも、それでも、良いんだ」
だって君はちゃんと気にすることが出来るでしょう、と言うものだから、先生は狡い、と抱き締めることでやり過ごした。
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墓まで持っていく秘密
ランバネインくんは〝前〟でのことを気にしているみたいで、それこそ壊れ物でも扱うみたいにして僕に接してくる。
僕はそこまでしなくても良いと思ってはいるけれど、トラウマというやつはなかなか払拭出来ないだろうし、そもそも前世の記憶に基づいたトラウマなんて、何処の医者にかかれば良いのか。前だってそうだったけれど、僕は今だって医師免許だとかそういうものを持っている訳じゃあないのだし、素人の無用な手出しはきっと悪化を招くのだろう。
だから、何も言わない。
それに、僕は〝前〟でのことを後悔など、微塵もしていないのだし。…でも、一つだけ後悔を挙げるならば。
「殺されるなら君が良かったなんて言ったら、君はきっと泣くんだろうね」