兎に角君のいろんな顔が見てみたい



 燭台切光忠は自身を顕現した主と恋人同士だ。それは間違いのない事実なので冒頭で言っておく。そして段階を踏んでお付き合いを進め、あれやこれやもする仲である。
 ということで今、燭台切光忠のモノは主である女性の中にずっぷりと埋まった状態である。苦しい、と甘い声を出す彼女の身体が適応するのを待ちながら、じわじわと様子見のように動いていく。彼女を果てまで味わい尽くしたいが、だからと言って無理をさせたい訳ではない。
「主? 大丈夫?」
「…ぅ、ん」
「そろそろ動いてみようかと思ってるんだけど良いよね?」
「だ、ぃじょう、ぶ」
見極めのなかなか上手くいくようになってきた。となれば更に先が見てみたくなるのも仕方ないだろう。だって、恋人である。恋人のことは何だって知ってみたいのが本音だろう。まあ、人間の歴史を鑑みるに知らなくても良いこと、というのはそれなりにあるのだと分かっているつもりではあるが、やはり燭台切光忠は主のいろんな顔が見てみたいので。
「ふ、ぁ…っん、んあッ」
 ゆるゆると腰を揺さぶってやると、いっぱいだ、と言葉が漏れ出る。それを聞き逃す燭台切光忠ではない。
「主、何でいっぱいなの?」
下腹がぐん、と重くなるのを感じていた。本当に意味が分からない訳ではない。一瞬、怯えにも似た光が主の瞳を奔って、それから快楽に沈んでいくのを見る。
「言って欲しいなあ、主。何でいっぱいなの?」
「ン、ぅん、しょく、あ、ッま、」
「主、教えて? 僕、聞きたい」
「しょ、くだッ、ゃ、ふ、ぅ…っ」
言おうとする主の腰を捕まえて、言葉を遮るようにイイトコを擦り上げる。主はそんな燭台切光忠の矛盾した行動の意味が分かっている。それでも頑張って言おうとしてくれる辺り、本当に愛されてるんだと思う。
「主、頑張って? 頑張る主を見てるの、本当にすき」
「ん、ン、わたしも、すき、だ」
「…主、それも嬉しいけど、何でいっぱいなのかも教えて?」
ん、ん、と上擦った声が耳をくすぐって、ぐすぐすと主の鼻が鳴るのを聞く。
「それ、はっ」
少しやりすぎたかな、とは思うけれどもまだ大丈夫だ、という慢心が燭台切光忠を動かしていく。
「しょ、アッ…! や、ンンッ」
 びくん! と腰が跳ねて、ぴん、と伸ばされた足が攣りそうなくらいに震えていた。いつもなら此処で気持ちよくなっちゃった? とか聞くのだけれども今日はそういう志向ではないのでどうしたの? と聞くだけだ。
「僕はまだ答えを貰ってないんだけど」
それとも主はそんなことも分からないのかな、と言ったところで震える腕が伸びてきた。向き合った体勢では、それは簡単に燭台切光忠の首に回る。
 ぐい、と引き寄せられて、唇が耳元に寄って。
「いわせて、くれない、のか」
「―――〜〜ッ」
そんなことを言われてしまえば燭台切光忠は、降参です、と両手を挙げるしか出来ないのだ。