とこしえの春をください


 審神者と刀剣男士の性行為は禁じられてはいない。そんなことは知ってはいるが、今燭台切光忠が己の主を壁際へと追い詰めている行為はただの燭台切光忠の意思でしかなく、追い詰められているという言葉通り、これは主の意思に沿ったものではない。ない、けれどもこの本丸では何かがおかしいのか、それとも燭台切光忠の主がそういった$F香を撒き散らすような、つまり神に捧げられる供物のような側面を持っているからなのか、ああ、まだるっこしくなってしまったがつまり、燭台切光忠を始めとしたこの本丸の刀剣男士は己の主を抱きたくて仕方がないのだ。例えその意思に反していようとも。主も主で最早諦めたのか順応を始め、一応の抵抗は見せるもののその身体は教え込まれた快楽を十二分に拾い上げる。人間の記憶というのはひどく冴えているもので、こうして燭台切光忠が壁に主を追い詰めているだけで、主は以前の行為を思い出してしまう。
 既に紅潮している頬に、燭台切光忠が触れることはしない。
「壁に手、ついて?」
後ろ向きになるんだよ、と優しく言うだけで良い。声を荒げる趣味はないから、どろどろに蕩かしてしまいたい。小動物のような反応をしながら、それでも主は言う通りにした。何も言わないのに腰を突き出すような格好。
「そうそう、上手だよ」
 もう戻れはしないんだろうな、と思ったら笑うしかなかった。



 主の身体はもう準備万端で、だから燭台切光忠は大した前戯もせずに挿入を施した。それだけで気持ちがよくなれてしまうのか、びく、びく、と震える身体。あ、あ、と漏れ出る声は確かな嬌声だった。ナカは程よく濡れていて、ずっと燭台切光忠を待っていたかのようだった。快楽から逃げようと藻掻く主が壁に縋り付いても、それはもっと逃げ道を塞ぐだけ。主には壁を登れるような力もないので、ただただ踵を上げた分だけ、力が保てなくて落ちるのだ。その度に自分で腰を上下させている形になって、ああ、なんてはしたない。
「主、小さいから浮き上がっちゃうね。子宮までちゃんと届いてる?」
背中側からではその場所を示すことも出来ないが、まあこの辺りだろう、とアタリを付けてこんこん、とノックする。真面に服を脱いでもいない、その中途半端な格好は、余計に主の羞恥を煽るらしい。
 先端が何処まで届いているのか。燭台切光忠は自分のものなので分かっている。分かっていても、主に認識してほしくて問う。
「僕の、ちゃんと届いてる? ねえ、聞いてるんだけど」
燭台切光忠が激しく突き上げる度に主は悲鳴じみた嬌声をこらえて、それが可愛らしくてたまらないので崩した場所から手を差し込む。項を舐めて、食んで、耳から声を流し込んで、期待を滲ませた乳首をつまんで弾いてこね回す。その度にナカは切なそうに動くけれど、主から先程の問いの答えが返ってくることはない。
「下の口ばっかりおしゃべりで、上の口はお飾りなのかなあ」
「ち、が―――ッあ、んっ」
「お飾りじゃないなら言って? 僕の、ちゃんと届いてる?」
「とど、…っいて、る…からぁ…!」
「何処まで?」
「や、ぁ…ッはや、はげし…し、しきゅ、…ま、っ…でっ、ちゃん、と…!」
「へえ、それは嬉しいなあ」
主も嬉しいでしょ? と問えば、こくこくと必死に縦に振られる首。
「ふふ、主、いっぱい弄られるの好きなんだねえ」
 ぽたぽた、と主からこぼれ落ちた液体が床を汚していく。
「きゅうきゅうしてるよ、主。僕のこと離したくないって」
「そ、…んっ…」
「違わないでしょ? だって主、僕のが子宮に届いて嬉しいんだもんね?」
自分が何を言ったのか、ちゃんと復唱してやることで、主はもっと色付くことを燭台切光忠は知っている。
 …最初からそうだったのか、それとも彼女は狂っていっている最中なのか、分からなかったけれども健気に啼いてみせる彼女との行為をやめることは出来なさそうだった。



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