ゆうやけは海のむこう


 無数のよくわからないものがうねうねと鈴珠の身体を拘束していた。それは愛撫のするように服を一枚一枚剥ぎ取り、今や排泄口やら性器やらに触れて、まるで楽しんでいるようにも見える。
 親戚筋であるその男によくないものが憑いているのが分かっていた。だからその声掛けには慎重に、そうだ、慎重に乗ったはずだったのに。たすけてよ、と言った彼はとても弱っているように見えたし、鈴珠に出来ることなら倫理の範囲内でしてあげたら、と思ったのは事実だったけれど。
「こ、こんなことするなんて聞いてないっ」
「言ってないものね」
男は笑う。
 鈴珠は幾度かこの男に会ったことはあるが、それでもこんな表情をするようなヒトではなかったと思っていたし、そもそもこんな触手のようなものは従えていなかった。性器にしては丸い形をしているものがちゅぱ、と音を立てて押し進んでくる。
「う、うう…ッな、中には出さない、で…!」
「そんな言葉知ってるんだあ、意外」
「やああっ」
にゅるにゅる、と這入り込んで来たものは粘液を纏っているようだった。平均よりも身体が小さい鈴珠の腸内にも無理なく這入って来る。痛みがないのが逆に恐ろしい。
「ううぅっ、あ」
「ああ、精通まだだったんだ? でも、ほら、きもちいいでしょ?」
「も、もうやだ…っ」
びくびく、と身体が震えた。まだ精通を迎えていない身体でも、性器を擦れば気持ちが良いことは知っている。
「こいつら、孕ませてくるような奴らじゃないから」
だから大丈夫、と男は言う。
「だから、ね? 気持ち良いって認めて良いんだよ」
「きもちくなんか、ない…っ」
言えば言うほどぬちゅぬちゅとした水音が耳につくようで。
「大丈夫だよ、性器じゃなければ傷物扱いにはならないって」
「あぅ…ああッ」
「だから、ね? 俺に憑いたこれが満足するまで、鈴珠くんもたくさん、気持ち良くなってね」
 俺の代わりに、というのは聞こえなかったふりをした。