うさぎの宝石
モブ×鷲寮生ぎちぎちに縛られて身動きも真面に取れない後輩を、可哀想だと思うことはまあ、少し、ある。けれどもそもそも取引として向こう側から用意されたのがこの後輩であるので、本人の意志は兎も角取引材料とされているのだから納得してもらうしかない。それでもまあ、痛いのは嫌だろうということで薬を直接ナカに塗って、そうして放置・観察を続けること数時間。
明らかに普通ではない反応が出て来たところで、自由の効かない身体を引き寄せた。
「縛られて興奮してるんだ?」
何をされるのか分かったのだろう、逃げようとするのを抑えこむ。
「暴れるともっとそれ、食い込むぜ? 痕残したくないだろ?」
悲鳴、にしては硬度のない声だった。薬が効いているのか、何処かとろり、とした声。紛れもない嬌声だ、と思って更に腰を推し進める。
「はは、すげえ…」
漏れたのは素直な感嘆だった。
「あいつ、良いの用意したなあ。なあ、分かるか? お前のここ、すげえ絡みついてくる」
ほら、と動きを止めてやると、自分でもそれが分かったのかやだやだ、と振られる首。しかしそれにも力がない。
薬を塗られてずっと放置されていたのだ。自分で自分を慰めることも出来ないで、動くこともままならく焦らされたままここまで来た。
「イきたいだろ?」
そんな後輩の願いなんて、一つしかないはずだ。
腰を掴んでゆっくりと抽挿を繰り返すと涙がぼろり、と落ちる。
「やだッ…やだ、もう…いやぁ…あッ、ん、―――あああああッ」
びくびく、と震える身体に恍惚とした表情。
「イったなあ」
誰が見てもそれしかない状態に、投げかける言葉は一つ。
「イったんだから和姦、だよな?」
そんなのはただの言葉遊びのようなものだったけれど、薬の効果といろいろなものが綯い交ぜになっている後輩に、それが何処まで正しく理解出来るのか。首が左右に振られる様子はない。ぼうっとした目が、こちらを見上げてくる。
「じゃあ、」
それに微笑みかけながらもう一度腰を掴み直して。
「和姦になったところで、次は俺のことも楽しませてくれよ?」
あと何回世界がまわったら
先輩×鷲寮生楽しいことしようぜ、と言ってきたのがハッフルパフの先輩であったことで油断してしまった、とまだなんとか残っている冷静な部分が言っていた。じゅぷじゅぷと音を立てるのは大量に使われた薬の所為ではなく、涼暮の身体から出てくるものや、また、その先輩が出したものたちでそれが更に涼暮の羞恥を煽っていく。甲高い声が口から飛び出て、先輩が笑うのを聞いても、身体が言うことを聞かない。
中を執拗に擦られれば、敏感になった身体は大袈裟なほどに反応を示して、喉からは悲鳴じみた声が漏れでた。頭が、真っ白になる。
「もっとイきたいだろ?」
「ああッ」
この状態でもっと、なんて。しなる背中が逃げようとしているようにでも見えたのか、先輩がすかさず腰を掴んできた。
奥、に。
「もう、もう…やあ…ッ」
口で幾ら嫌と言ってもびくびく、と鋭敏になった身体のコントロールが戻って来ることはなく、先輩は嫌じゃないよな? と笑うだけ。
ぐちゃぐちゃ、と実際に聞こえているのか、それとも身体が感覚として捉えている音なのか全く分からないまま、何度目かの精が放たれるのを感じていた。
明日もそのまた明日もそのまたそのまた明日も
先輩×鷲寮生そもそも性行為というものは愛し合う者同士で行う高等なコミュニケーションである。
と、少なくとも涼暮洋は思っていた。父親と暮らしていた時も、下井の家に引き取られた時も、このホグワーツに入学してからも。それが何の因果か別に好きでもなんでもない先輩にひと気のない教室に連れ込まれ、告白をされ、断ったら断るなんて許さないと犯され、その日から涼暮と先輩の奇妙な関係は始まったのだった。そもそも涼暮は告白を断っているのだし一度だって同意した覚えはないのだが、先輩が涼暮の一人になるタイミングを狙ってやって来ては隠し部屋やらトイレやらに連れ込むので、抵抗するほどの力がない涼暮は結局されるがままになっている。ゴムをしてくれるのがせめてもの良心、なのだろうか。
そんなディスコミュニケーションでも、繰り返していれば身体は順応していくし、これがきもちいいってことだよ、と懇切丁寧に教えこまれれば人間の身体というものは学習する。体内に埋め込まれたものがぐりゅ、とその一点に塗り込めるように動けば、学習済みの身体は先輩の好むような反応を返す。
「無理矢理やってんのに感じてんの?」
自覚があるのは救いなのか、それとも救いようがないのか―――既にコントロール下を離れた思考はぱちぱちと弾け散って、手首を縛る先輩のネクタイを軋ませる。毎回毎回こんなふうに使っていてはすぐにネクタイは擦りきれてしまいそうだ。
「ふうん、ここがそんなに良いんだ?」
攻撃かと思うほどにつよく、同じところを突かれれば最早思考が再形成される暇もない。
「あーイイ声出せるじゃん。最初っからその声で啼いてよね」
めっちゃかわいい、と先輩が笑うのが見えるはずなのに、視界だって鮮明ではない。
ぐっと身を押し付けるようにした先輩のものがおくのおくまではいってくる。それが苦しくて、なんとか逃れようと必死に息を吐く。
「涼暮の眉間の皺、ホント興奮する」
そんな涼暮を見遣ってから、先輩は涼暮の眉間を指で撫ぜた。
「無理矢理にでも、オレのにしてるんだな、って分かるからかな…」
自覚があるのだからやっぱり救いようがないのかもしれない。
「ホント、最高」
こぼれおちて戻らない思考の中で、先輩の言葉をなぞるように、本当にさいあくだ、と涼暮は思った。
ひかりのあたる、(バニラ色のひかり)
モブ×鷲寮生ホグワーツの図書館の、奥まった場所には鏡がある。暇な時間さえあれば図書館をうろうろしている涼暮はそれを知っていたが、何故なのかなんて考えたこともなかった。本棚にやっとのことで縋り付く涼暮に後ろの人間は気を良くしたようで動きは激しくなり、静かな図書館の何処までもその音が反響していくような錯覚に囚われる。
「あの、鏡」
知らない、生徒だった。
「前に司書の先生に何で置いてあるのかって聞いたんだけど、知らないって言っててさー…ずっとなんでだろう、って考えてたんだけど」
見てみろよ、と言われて素直に首が動いたのは、最早思考が擦り切れていたからかもしれない。
「誰かがこういうことするために置いたのかもな」
喉がきゅっと締まる音がした。あーその声、すき、と言われる。お前のすききらいなんか知ったことか、と思うけれども今の涼暮にそう返すだけの力はない。
「こうしたら見えるよな?」
ローブがたくしあげられる。
ぬち、という音が近く聞こえた。鏡の中から、知らない顔の自分が見つめ返してた。
その先にあるのはただ只管の闇でしょう
先輩×鷲寮生大人しくしてろ、という言葉と共に飛んできたのは拳だった。どいつもこいつも魔法使いのくせに、と思うが魔法なんてものは拳なんかよりもずっと強力だ。半人前の魔法使いが使えば人を殺すかもしれない。そいれに、直前呪文だってある。そう思うと彼らが拳を選ぶのは確かに全うな判断だと言えるのかもしれなかったが。
「そうそう…最初からそうやって大人しくしてれば良いんだよ」
レイブンクローのネクタイをした、でも名前も知らない先輩は笑う。足は抑えつけられ、散々かき回されたその部分が視線に晒されているのを感じた。分かってはいてもあまりにそれは屈辱的で、ぎゅっと目を瞑ることしか出来ない。
熱の塊が擦り付けられる。
「オンナは素直に股開いてる方が可愛いぜ?」
「俺は、…ッ」
「こんなになってンのにまだ男だって言い張る? それでも良いけど?」
ずるり、と腹を内から圧迫するような質量に声が掠れた。
「涼暮くんは男に犯されてもイけちゃうなんて、その方が良いなら、そっちでも良いけど?」
にやり、と笑う男が勝手知ったると言ったように腹の中を執拗にまさぐって、涼暮は思考がぶつり、と切れる音をただ聞いていた。
あなたのその死んだ魚のようなその目
先輩×鷲寮生・おがすずはは、と目の前の生徒が笑う。同じ青いネクタイに、こういうことをする奴に寮も何も関係ない、と涼暮は思う。涼暮は別に外の世界を見た訳でもないし、あまり他寮の友人がいる訳でもないのだけれど、入った寮で差別することはよくないことだよ―――そう父が言っていたのを未だ、忘れられないから。
「髪、何使ってんの」
「………」
「だんまりかよ」
此処でマグル製品を上げれば怒られるのだろうなあ、と思いながらも長く伸ばした髪を好き勝手されるのを黙って受け入れるのは、これ以上のことが起こらないようにするためだった。涼暮だってこの名前も知らない先輩の機嫌を損ねたら何が起こるか、想像くらいつく。そもそも動物の中では当たり前のことなのだ―――マウント行為、など。
「あーでもキモチイからいっかな」
お前顔キレーだし、と言われるもしらんがな、である。
今、涼暮の髪はいつものようにまとめられてはいなかった。いつもだって大してまとめられていないというツッコミは今要らない。リボンは解かれ、顔にかかる髪を掬い上げた先輩は、あろうことか自らの男性器に涼暮の髪を擦りつけて笑っていた。髪はそういうことに使うものではないとは思うが、そういう性癖が存在することは知っていた。以前、ぽろっと榎木がこぼしたので。
そうこう涼暮が思考を現実から離れさせている間にも先輩は一人で盛り上がっていって、そして一呼吸、詰めたと思ったら案の定、髪に白濁が散らされた。耳にも掛かる。気持ちが悪い。しかし此処で拭うような真似をしたら今までの我慢が無駄になる。
「ねえ、涼暮ってさ」
と、そんなことを思っていたのに。
「抵抗しないってことは、こういうの好きなの?」
は? というのは言葉にならなかった。そのまま床に押し倒される。
「なん…ッ」
「だって、全然抵抗しなかったじゃん」
「違、」
「ちがくないでしょ? ねえ、ホントはこういうの好きなんだ」
「だからっ」
どうにか先輩を遠ざけようと暴れるうちに、精液のついた髪が頬に当たる。
「あ、それもいいなー…とりあえず挿れる前にフェラでもしてもらおっかな」
そしたら顔に掛けてあげるから、と続けられる言葉に単語の意味は分からずとも顔面に何かしらされそうな気配を感じ取って抵抗を強めた。のも涼暮の中だけでのこと。やすやすとまとめ上げられた腕に、胸の上に陣取った先輩が、にやにやとそれを近付けて来て―――
「ステューピファイ、麻痺せよ」
飛んできた呪文に先輩が失神する。
「………小川」
落ちてきた先輩の下から脱出して、そうしてやっと涼暮はその名を呼んだ。
「涼暮くん」
乱入して来た相手の目がひどく冷たくい。
「…なに」
「それさあ」
「…洗いたいな。とりあえずスコージファイでもいいんだけど。俺の杖―――」
「僕もやっていい?」
会話しろ、と思ったけれども既に髪は掴まれていた。杖は先輩が取り上げて放ったままである。一度目を閉じて、思考する。
果たしてどちらが正しいか?
分からなかったので、けれども何か答えなければと思ったので、好きにすれば、とだけ呟いた。
キングス・クロスは遠く、
モブ×鷲寮生学期末のホグワーツ特急の中で、一緒のコンパートメントになった男に襲われるなんて考えつかないことだった。
「急に抵抗しなくなったな」
涼暮の意志とは関係なく出し入れされるそれに、内臓を直接かき回されているその感覚にただ只管耐えていればそんな言葉が落とされた。
「もしかして気持ち良くなってきた?」
「そんなわけ…ッ」
「とか言いながら身体は正直だなー。きゅんきゅん言ってる」
「ふざけ…ッ」
んな、と最後まで言うことすら許されない。揺すぶられる男の膝の上で迎えた何度目かの絶頂は、既に精液の色をなしていない。
「…なあ、向かいのコンパートメントの奴、気付いてるぜ?」
秘密を打ち明けるかのように囁かれたそれに、ぞわり、と背筋を走るものがあった。
「ははっ…すげー締まる…。ホントは見られたいんだろ? 男に挿れられてイかされてるとこ」
「ちがう…ッ」
「あいつも呼ぶ?」
涼暮の否定の言葉も虚しく、男は腰を止めることはなく言葉も止めることはない。
「呼んで、お前がどんだけ淫乱か見てもらおうか?」
独り占めっていうのも勿体無いしな、と笑う男の感情が読めない。
なあ、そうしようぜ、と男が言った瞬間、中のものがいいところを突いていって、涼暮は言葉もなく達した。ガクガクと震えるしか出来ない涼暮の頭を撫でながら、男が小さく向かいのコンパートメントに向かって手招きするのを、ただ何も出来ず見ているだけだった。
幸せとは何者でしょう。
モブ×鷲寮生排泄口は排泄口であって性行為に用いるように出来ていない。
はずだった。なのに、今涼暮の中には知らない男の性器が入っていて、既に何度か中で射精されていた。
「あんなに嫌がってたのに身体の方は正直だなあ?」
男の声にびくんっと身体が揺れると同時に内腿が震える。
「ほらイッた。良いんだろ?」
「あぁああッ」
「すっげえ、びくびく感じてるじゃねーか」
内壁をすりあげるような動きにイけよ、と男は腰を引き寄せる。肌が触れ合って、これ以上入らない、というところまで突き上げられる。
「いーんらん」
涼暮は知らない。男が性感を上げる魔法薬を使っていたことなど。だからそのすべてが自分の反応だと思ってしまっている。
「ちゃんとイく時の顔、撮ってやるよ。勿論動く写真でな」
そしたら何回でもお前のイく瞬間が見れるなあ、と言う言葉に、また高い声が出た。
最早精液もまともに出なかった。
豆電球・白色灯
モブ×鷲寮生どうしてこうなってるのか分からなかった。縛られた状態で突き付けられた熱は、妙な薬の所為でずっと待っていたようにも思える。
「逃げられるとでも思ってんのか?」
知らない声が聞くけれどもそんなことは思っていない。怖いのはこの先自分がどうなってしまうのか、だ。抵抗の出来ない涼暮の後孔で男は数度先走りを擦り付けるように動いた。歓喜するように腰が揺れてしまう。それに気をよくしたような笑い声が聞こえると、やっと腰が固定された。
「奥までずっぽり咥えろよ…たっぷり出してやるから…」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら出し入れされるそれに耳から犯されているような気分になる。肉壁を擦られる度に小さな快感が走って声が出た。自分の声じゃないような、甲高いもの。自分の下にあるものが自らの精液で出来たものだなんて信じられない。
逃げたい。
これ以上されたら可笑しくなってしまう。
そんな涼暮の思考を読んだかのように、男はまだ終わりじゃねーよ、と囁いた。思わず見上げると、その目、ぞくぞくする、と笑う。
「っていうかいい声で啼くじゃん。もしかして処女じゃない訳? 開発済み? 変態だなァ」
「あァあ………っ」
「お、締まった。罵られるのが好きな訳? マジでそっち系かよ…」
「あぁぁあっッ」
「はは、最高」
「んあああっ」
涼暮ばかりが頭を白くして、男はまだまだずっと余裕なようだった。
まだ吐き出されすらしないそれに、この行為からいつ逃れられるのか、涼暮には何も分からない。
知らない生徒に完全なる不意打ちで空き教室に引きずり込まれた時、最初に頭に浮かんだのは暴力の可能性だった。ある意味ではそれの予測は間違ってはいなかったのだけれど。
「ふっう…」
「気持ちいいなら声出して良いんだぜ?」
人の股座で笑う生徒の名前を、涼暮は未だ知らないままだった。
きみのことがすきだった
モブ×鷲寮生空き教室に引きずり込まれ最初にされたのは床に引き倒されることだった。本当に完全なる不意打ちだったのでその一撃で怯んだ涼暮はその隙に唯一の武器である杖を奪われ、教室の隅に放られる。
「はー…近くで見るとやっぱ美人だな」
男子生徒は涼暮に馬乗りになって顔を近くで見遣ると、そんなことを零した。そしてそのまま涼暮の下腹部に手を伸ばし、服も下着もずり下ろして口淫を行っている。
最初は男の頭を押しのけるために使っていた腕は、一度歯を立てられてからそうは使えなくなっていた。
「あんまオイタすると噛みちぎるからな」
お前は穴だけあれば良いんだし、と何か恐ろしい言葉も付け加えられたが、涼暮とて噛みちぎられたい訳ではない。
気持ちが悪い。
最初はそれだけだったはずなのに、見ろよ、と言った男の言葉に顔を上げてしまった。
「お前、今、自分がどんな顔してるか分かってる?」
男の示す先には鏡があった。その中にいたのは―――
「ッ…!?」
「あれ、意外そうな顔すんね。こっちの方は素直だぜ?」
れろ、と見せつけるように舌を這わされたそれは既に明確に形を持っていた。気持ちが悪い、はずなのに。男の舌が先端の窪みをぐりぐりと刺激すれば腰が浮く。
「ひゃっ…」
「逃げんなって、こら」
ずっぽりと咥え込まれたままじゅる、と吸い上げられれば、他人からの刺激に慣れていない涼暮は簡単に達した。
はぁっ、はぁっ、と息をする涼暮を男は楽しそうに見つめる。
「イッちゃったなぁ。誰かもわかんないようなやつの口で」
「…うるさい…ッ!」
「はは、まだそんな口叩く余裕あんだ」
なら良いよな、と中途半端にずり下げられたままのものたちがさらに下される。
「何の…つもり…っ」
「あ? ほんとにわかんねーならマジ嬉しーわ」
足を上に折るようにして腰浮かされ、男の目には何が映っているのだろう。それに思い至った瞬間羞恥でカッと頬が熱くなる。
「はは、ヒクヒクしてら」
「やめろ…ッみるな…!」
「そんな可愛くお願いされても無理」
そう言って男は多分にやりと笑って―――そのまま涼暮の排泄口へと舌を伸ばした。
「やだっやめ…ッ!!」
「だから無理だって」
「やだ…ぁ…っ」
「むーり」
涼暮がやだやだと逃げようとしても、腰をがっちり掴まれてしまって逃げられない。そのうち舌の感覚に慣れてきてしまえば、男は片手を解放してそこに這わせてきた。
ぐに、と。
肉を割るように指が押し入って来る。
「分かる? 今お前のナカ、すげーオレの指に吸い付いてる」
「違う!」
「違わないだろ」
「何がしたいんだよ…ッ抜け、よ!」
「何ってナニだよ。お前のここに、オレのをぶっこみたい、って言えば温室育ちのお前にも分かる?」
さーっと、血の気が引く音が聞こえたような気がした。
「あ、めっちゃその顔良いな」
「ふざけ…っなんのため、に」
「なんのため、って聞かれるとオレのため、だけど?」
「なんだよそれ…っ」
「なんだろうなあ」
男はにやにやと笑ったまま指を増やす。異物感しかないはずなのに、また何かわき上がってくるよう、な。
「じゃあチャンスをやるよ」
男は充分にかき回したそこから指を抜くと、立ち上がる。
「お前が口でオレを満足させてくれたら挿れるかどうかは考えてやる」
立場考えろよ? と言われてそっくりそのままその言葉を返してやりたいと思ったが、ただ黙って口を開けた。
「そんなんで入ると思ってんのかよ」
「うんッ!?」
「ほらもっと口開けろって」
そんなんで気持ち良くなれると思ってんのかよ、と無理やり突っ込まれたものが、喉を犯して息苦しさに汚らしい声が出た。それも男を喜ばせる要素にしかならないようだったが。
「そう、そう、分かってんじゃん。そうやって喉使うの。舌もちゃんと動かして、あと…まあ、そんな技量は期待してないから。ちゃんと顔動かして出し入れしろよ?」
「ぐ…う…」
「はいはい睨んでもむーだ」
涼暮の口の中でただ熱を持っていただけのものがしっかりと形作られていく。おんなじものが涼暮にだってあるはずなのに、どうしてかこうして自分の口の中にあるというだけで、凶器のように思えるのはどうしてなのだろう。
「は、もう良いぜ」
髪を引っ張られてそれを抜かれる。出していないけれども彼は満足したのだろう、そう思って口を拭っているとどさり、とまた床に倒された。口でする前と同じ、腰を上げられた体勢。
「じゃあお待ちかねの本番な」
「は…ッ!? 待てっ…話が、ちが…」
「違くない違くない」
「嘘吐き…ッ!!」
「嘘吐きって。かわいー。でもな、ちゃんと頭働かせろよ? フェラしたら挿れるかどうか考えるとは言ったけどな、挿れないとは言ってねえ…」
ひたり、押し付けられる熱。口の中で吐き出されなかったそれがどうなるのか、想像もしたくない。
「よっ!!」
じゅぷ、と音を立てて滑り込んで来たそれに、涼暮はただ悲鳴を上げることしか出来なかった。
男は笑って腰を動かす。
「やっべ、出る」
そう呟かれてそう経たない内に、びくびくっと腸壁が振動を受け取った。やめろ、というのも言葉にならない。
「んんんっ」
「あっ、そんな絞めんなって、また出る…」
どぷどぷ、と注がれる精液の感覚が背筋をぞくぞくと這い上がっていった。気持ち悪い、気持ち悪い。気持ち悪いであっているのに。
「ぁぁあッ」
「はは、喜んでる喜んでる。挿れられたのハジメテだろ? ナカに出されたのもハジメテだよな?」
「だ、ったら…」
「だったらオレが嬉しいだけー」
にちゃにちゃと音を立てるのが自分の排泄口であるということを、涼暮は信じたくない。信じたくないから目を瞑る。そうすると余計に音やら感覚やらが拾われるようになって、涼暮の意識は何処かへ行ってしまいそうになる。
「でも何、ナカ擦られただけでそんなんなってるとか、マジ才能あるんじゃね?」
ぐい、と男の手が涼暮の顎を持ち上げる。
「鏡見てみろよ。お前が今、どんだけ気持ちよさそうな顔してるか」
鏡の中には知らない人間がいた。知らない人間がいて、まるでこの行為を楽しんでいるかのように口の端を緩ませていた。
どうしてきみはいきているの
おがすず今度は何が逆鱗―――逆鱗でいいだろう、もう。それに触れたのか全く分からないけれど。
「もっと嫌がる顔、見せてよ」
普段で言うのならば逆流する動作が快楽に変わる過程で白も黒もよく分からない頭でそんなことを言われても、きっと小川の目に映っているのはだらしなく歪んだ表情なのだ。それが涼暮には悔しくてたまらない。だからぎゅっと唇を噛み締めると、そうそれだよ、と言われる。
「どうして?」
それは子供のような響きをしていた。
「どうしてあの先輩のところにいくの? どうしてあのハッフルパフのところにいくの? どうして佐竹くんのところにいくの? どうして僕だけじゃ…僕だけで良いでしょ? ねえ、涼暮くん」
ぐちゅっ、とおくまで挿し込まれるその動きをしてほしい、と思っている自分を殺したくなりながらその声に耳を傾ける。ひどい言いようだ。涼暮には涼暮の交友関係があるのに。
「僕だけが」
まるで、
「涼暮くんの身体は僕だけで良いって言ってるのに」
涼暮を人間と思っていない、よう、な。
「どうして、涼暮くんには心があるのかなあ」
イーアイイーアイオー
おがすず本当はそういう器官ではないはずなのに、何度も何度も慣れさせられた場所はくぷくぷといった軽い音しか出さずにそれを飲み込んでいく。そうして一度熱が吐き出されたところで、ふふ、と小川が笑った。
「涼暮くん、そんなに僕とずっと一緒にいたい?」
首を振るのも違うような気がして何も答えずにいると、小川は沈黙を否定と受け取ったらしかった。
「だって、ずっごく、ぎゅってしてくる」
腹の中が熱い。痛い。そんな訳ない、と言った意味を込めて後ろを振り返れば、小川はいつもどおりに笑っていた。
「あはは、そんな目も出来るんだ」
「うう………」
「今までずっと涼暮くんが何考えてるのか全然分からなかったから、今、すっごく僕うれしい」
涼暮くんのこともきもちよくしてあげるね、と握り込まれた先端は確かにぬるついていて、涼暮が興奮していない訳ではないと示しているようなもので。
「涼暮くん、この格好すきなの? すごい、ぎゅってなってる」
へんたいさんだね。
どっちが、と思ったのは言わずにおいて多分、正解だった。
それでもこれは恋じゃない
おがすずもう何が何だか分からなくなってただ只管感覚を逃がすように声を上げて、多分その過程でそれはこぼれたのだろう。おくのおくまで挿し込まれた熱に耐え切れなくて仰け反った、その反動でこぼれたもの。きっと意味なんてないのに、その手はそれを掬うから。
「涙が出るほどきもちいの?」
そういう訳じゃない、と思うけれども喉が痛くて言葉にならない。
「ねえ、僕、涼暮くんのことすきだよ」
ああ、と沈んだ声は似合わないのに。
「だから、ねえ、涼暮くんも僕のことすきになって」
フェリックス・フェリシスください
おがすず上に乗ってみてよ、と彼が言うのにそう他意はなかっただろう。ただ単にそういう気分だっただけ。ぢゅぶ、と立つ音の間に上がる小川の少し高い声がたのしそうで、いつもと違った圧迫感に声が上手く出ないのを誤魔化せている気がした。
「う…」
「あ、ううっ、涼暮くん…あーッ」
ずぷん、と液体の流れ込まされる感覚。ああそういえば今日もゴムしてなかった。性病とか大丈夫かな。
やらかした本人はそれを少し気にしていたようで、もしかしたら涼暮よりも先に射精たことが気になっていたのかもしれないが、
「涼暮くんがえっちだからなのであって、今のは僕の所為じゃないよ」
なんて言い訳がましい言葉を口にして、体制を変えた。
先ほどまでは主導権を握れていたのが一気に逆転して、苦しさに涙が滲む。
「泣いてるの?」
それに気付いたのか、小川は声を掛けてきた。それでも動きを止めないのは、これが彼の興味から来る純粋な好奇心だからか。
「涼暮くんも、泣くんだ…」
人のことを一体何だと思っているのだろう。
「また一つ涼暮くんのことが知れたね」
指が、涙を掬うことはなかった。涼暮と小川の体格差ではそれは難しい。
「でもどうしてだろう、僕、涼暮くんと仲良くなりたかったはずなのに、泣いてるの見たらもっと、泣いてほしくなっちゃった」
なんでだろう? と首を傾げる様は可愛らしいのに、どうしてこうも言っていることは可愛くないのだろうか。ああでも、と言葉は続く。
「このまま知って行ったら涼暮くんは全部、僕のものになるのかなあ」
ちゅぷん、と音がして溢れた液体を小川は不思議に思ったようだった。なにこれ、と言うようにそれを掬ってから、ああ、と頷く。
「これ、ぼくのか」
今、涼暮くんから出て来たの、ぼくのか。
そんな当たり前のことを言うものだから呆れてものも言えない。
「涼暮くんのなかにぼくがいるの、すっごく、すてきだね」
だから、掻き出したりしないでね。
その言葉に今から涼暮は翌日の腹痛について頭を悩ませるのだった。
ゆうやけこやけでまたあした
おがすず鏡が用意されていた時点で嫌な予感しかしなかった。今日はいいものを以下略で今、普通ならば見えない、死角だからと見ないようにしている部分までがしっかりと見せられている。恥ずかしい。恥ずかしい以外に何も言えないくらいに恥ずかしい。普段水音だとかなんだとかでも只管拾わされているのに、剰え見ないようにしてきたそのものを見せられてしまえば涼暮に逃げ場はないも同然だ。
「涼暮くんは、」
浅い抽送を繰り返しながら声を漏らす涼暮に小川は言う。ぱたぱた、と溢れたものは涙のようで、嬉しいんだねえ、と小さな手が縁の部分をぐり、と撫でていく。
「いりぐちが本当に好きなんだねえ」
でも僕はおくのほうがすきかなあ、と笑う同級生に、まだ終わりは来なさそうだと素直にその首に縋ることにした。
それは恋ではありません。
おがすずいつだって最初は少しであろうと痛みを伴う。それを涼暮が耐えているのはいつも≠謔閧ヘマシだからだった。大抵にして使うのは脚であったけれども(多分手だと痛いからだろう)、それに比べてしまえば粘膜を好き勝手される方がまだ相手も慎重になってくれるし、痛みの度合いとしてはこちらの方がずっとマシだった。
「もう少し抵抗してくれた方が、涼暮くんのこと分かるかもしれないのに」
だと言うのに、彼はお気に召さないらしかった。別に、機嫌を取るためにやっているのはなかったけれど。ぼたぼたと臀部を伝う液状のものが何なのか、見えなくても分かる。
溢れている。
そう再確認するだけで感覚が鋭敏化するような心地になった。
「でも、すごい」
「い…ッ」
「涼暮くんのなか、すごくあったかくてきもちい」
あ、あ、と断片的な声を上げ始めた小川に、この暴力ももうすぐ終わるのだと察する。
「これでちょっと涼暮くんのこと知れたかな?」
楽しそうで、それと同時に何処かきもちのよさそうな小川の声を聞いていると、多少の痛みなど耐えられてしまうと思えてしまうのは、果たして。
理科室でビーカーを割りました
おがすずぐちぐちと生々しい接合音にも慣れてしまった、と半ば他人事のように思いながら涼暮はやめて、と弱々しく言ってみる。言葉が弱々しくなってしまったのはその前に受けた暴行の所為であり、決して涼暮が彼に屈したという訳ではないと言っておきたい。そんなふうに思考を飛ばしかけている涼暮に、小川は何が面白いのかくすり、と笑ってみせた。
「口では嫌がってても涼暮くんの腰はちゃんと動くもんね、正直者だよね。きもちいいんでしょう?」
きもちよくてたまらないんでしょう?
それに答えるように、ぶるり、と内股が震える。吐精感に身を委ねる暇もなく、ずるずると肉壁を引きずり出すような動き。
「嘘吐きはきらいだよ?」
目が笑っていなかったのは、いつものことだと片付けるべきだったのか。
ともだちはそういうことしない
おがすず何で逃げようとしたの? と首を傾げる小川の目は何処までも笑っていなく、このネクタイで縛られた手がなかったらもっと平和に解決出来たかもしれない、なんてひどいことを考える。プロテゴまで放って逃げ出したのは涼暮だ。なのに、今更平和的解決を求めようとする、なんて。
「…ああ、そっか。僕の気持ちを試してみたんだよね?」
その異様な様子に思わず震えが走る。それを見た小川は何で震えるの、と笑う。
「大丈夫だよ、涼暮くんは僕の友達だもん。だからね、」
ずるり、と小川が這入って来る。
「涼暮くんが信じてくれるまでずっと、ちゃんと、抱いてあげるから」
マッドパーティー
おがすずさっきのお菓子美味しかった? と小川は言う。その顔は良く見えない。暗いとか、そういうことではなく、涼暮の目が霞んでいるのだ。
「あのね、僕をいっぱいいれておいたの」
何を言っているのか分からない。分からないけれど、もう我慢出来ない、と小川が動き出したのにはまずい、と思った。
「涼暮くんが動けないのは薬の所為だから、安心していいよ?」
何も安心出来ない。
熱いものが押し当てられる。薬、で自由のきかない身体では後ろを見ることすら出来ない。
にゅるり、と這入って来たそれはいつもよりも熱く感じられた。
「あっあっ、すごいぎゅってなる…涼暮くんも嬉しいんだね? 僕が涼暮くんの中にはいるの。僕が涼暮くんの中にたくさん、はいってくの」
小川の言葉の半分の脳が拾わない。ただ頭が沸騰するように熱くて、口元が緩んでいく。
「涼暮くんが僕を呼んでるんだよ」
だからいけないんだ、と言われたその意味は、分からなかった。
海にかえるくらげ
おがすず今日はいいもの持ってきたんだ! と同級生がいった時点で嫌な予感しかしていなかった。振動を続ける物体を見せつけられて、そんなものは嫌だと首を振ってみても両手を縛られた状態では何が出来る訳でもなくて。
「大丈夫だよ、涼暮くんも気に入るって」
そう言ってスイッチを入れられた玩具に、涼暮は無様になんとか身を捩ることしか出来なかった。
それで、その挿入を食い止められるはずもなく。
「んぅ…くッうう…」
白濁が撒き散らされたのを見て、小川がにんまりと笑う。
「ね? 気に入ったでしょう?」
腰を上げられ、その部分がしっかりと見えるようにさせられる。
「ほら、涼暮くん、好きでしょう?」
「んうぅあああッ」
「好きって、身体は言ってるよ?」
「あ、ァあーッ」
小川の言葉に何か返すことも出来ない。
顔に自分の精液がぼたぼた、と落ちてきた。それを舌で拭って、はしたないね、と小川は笑った。
きみといた夏
おがすず今日はいいものを持ってきたんだ! 以下略。振動を続けるそれは依然のものよりも随分細い。細いから奥まで来るけれども、何か物足りない。
「んぅう…ッ」
いいところは、掠めるのだけれど。
「なんか足りないみたいだねえ」
楽しそうに言う同級生に、そろそろこの腕の戒めを解いてもらえないかな、と思った。
しゃぼんだまとんだ
おがすず涼暮くんてさ、と陰茎の先だけが出し入れされる状態で小川は言う。腹の中で彼が遠慮無く射精していったものが泡立っているような気さえする。
「いりぐち、すきなの」
僕が挿れると、すぐにぎゅってしてくるよね。小川は笑う。
「そこ、って。涼暮くんが言ってるみたいで僕、嬉しいなあ。涼暮くん、あんまり話してくれないから」
つくりかえられる、とでも言うのか、それとも最初から全部間違っていたのか。
涼暮には分からない。痛みを伴う抽送に、ただやっと、一度吐精するのが精一杯だった。
メリーさんのひつじ
おがすず泣いてるみたいだ、と思う。
体位はいつだって小川の好きなようにさせていた。その小さな膝の上に乗るのだって床に手をついて腰を上げるような姿勢だって、小川がやれと言うのならばなんだってやった。本当ならしなくてはならないのだろう、コンドームといった類のものを一切使わなくても、それで次の日ひどい腹痛に見舞われても。
逃げるな、と小川は言わない。ただ幼子のように声を上げながら、その用途ではない場所を只管にかき混ぜるだけ。こんなことをやりたいのかと問われればきっと涼暮は違うと言うし、小川だって違うと言ったはずだった。
―――友達になりたいの。
そう笑った同級生の精液が水音を立てる腹の中に、何にもならない種がまた注がれる。
「涼暮くん、きもちよかった?」
床に落ちた精液に混じって、唾液が落ちていた。
「すっごい声、出てたよ」
ぼくもきもちよくなっちゃったから、今度は、二人で聞こうね、涼暮くんの声。
ちょっとした遊びでもやったと言わんばかりの同級生に、自分が一体どんな声を出しているのかなんて、知りたくなかった。