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皿の上のうさぎ


 何度目だろうな、と思った。
 最初はそれでも抵抗していた彼女だったけれど、何度も何度もなかに出されればそんな気力も失ってしまうのか。意識が朦朧としているようで、最早何を言われることもない。それでもやさしく弄ぶことを続ければ、声は上がるもので。
「…っ、ひ、ぅ、ぁ………ッ」
かたく勃ちあがりきった乳首は、緩やかな刺激でも毒らしい。糸で引かれるようになかが締め付けられて、それに呼応するようにまた、精を吐く。まだ出るものだな、と思いながら塗りつけるように動いてやると、弱いところに当たったのかまた身体が震えた。きゅうきゅう、と求めてやまないとでも言うような反応が可愛らしくて繰り返し繰り返し突く。
「は、………ぁぅ、」
もう身体が限界なのか、ゆるゆると首が振られた。接合部からは精液が溢れ出てきている。首が振られる度に露出させられた胸が揺れ、いやらしい仕草になっているとはつゆほどにも思わないのだろう。
「ぅ、ぁ………っ」
苦しそうに、眉根が寄せられる。それと同時に、また、なかの締め付けがきつくなる。
 それが此方を悦ばせているというのに。
 もう、思考を失った彼女は、喰われることしか出来ないのだ。



落下の方程式



 こんなことは簡単だった、そう言ってしまえば確かにそうだろうけれど。後ろ手に手錠をかけられた彼女はどうして、と言いたげな視線でなんとか虚勢を張っているようにも見えた。そうだろうな、と思う。別に、スリーだってこんなことをするつもりはなかった。ただ、使える部下として、手元に置いておけたら充分のはず、だったのに。
「はは、」
思わず笑いが込み上げる。
「これで何も出来ませんね」
「スリーさん、何を…」
「本気で聞いていますか?」
こんなにも征服感のあるものなのだな、と思う。言い訳にはなるが、今までこんなことはしたことがない。ただ、してしまった今、どうして今までやらなかったのか、と思う程度には満たされていた。
 嫌だ、と。やめて欲しい、と。それでも繰り返す彼女の言葉を無視して、触れて、舐って、貶めていく。そんなつもりではなくとも、今きっと、彼女は消費されているように感じているだろうから。それを尊重したかった、スリーがしたくてしているセックスが彼女にとっては暴力でしかないことを、せめて覚えていたかった。
「………ぁ、ゃだっ、」
そんなふうに思いながらストッキングに手をかける。じたばたと足が動いたのを膝を掴んで開かせることで封じて、少し考えてからストッキングを破いた。
「―――、」
絶句したままの彼女の太腿を辿って、下着をずらす。
「…ああ、」
 それは、感嘆にも似ていた。するり、となぞったそこはそう潤っているとは言えなかったが、それでもちゃんと快楽についてこようとはしていた。薄桃色がひどく綺麗で、あまり使われていなさそうな印象を受ける。ぴたり、と閉じきっているのを見るに狭いのかもしれない。ゆるゆる、とその周りをなぞりながら、その締め付けに思いを馳せる。
「すごく、綺麗です」
「も、もぅ、やめて…」
「どうして? これからなのに」
ゆっくりと指を差し込めば、くちゅり、と水音が上がる。彼女の反応を見ながら抜き差しを繰り返せば、いいところがあったのか、びくんっ、と明らかに違う反応があった。
「ここですね?」
「ゃっ、あっ、ああっ!」
「かわいい…」
「やら、っやめ………ッ、ぁ、あんっ…!」
明らかに艶の乗ったその声に気分がよくなって更に責め立てる。逃げたいのか、がしゃがしゃと手錠の揺れる音がした。もともと狭いそこが、更にぎゅうぎゅうと強く締め付けてくる。
「ッ、!! ぁ、―――~~~っ!!」
がくん、と。
 首を逸らして必死に息をする彼女から指を抜く。彼女のものでべたべたになった指のままベルトに手をかければ、いやいや、と力なく首が振られた。まだ聞こえているらしい。
「ねえ、ほら」
そんな彼女を無視して、押し充てる。
「こんなにあつくなってる」
「ゃ、すりーさ、ん、それは、」
「きみのなかに這入りたくて仕方ないんですよ」
「やら…ッ、」
ぽろぽろと涙がこぼれ始めたから、慰めるようにそれを指で拭ってやった。
「ゆっくりしますから」
「ゃ―――」
「ほら、息を吐いて」
彼女はまだ拒絶の言葉を吐こうとしたようだったが、先端でつぷつぷと入り口を刺激していたら次第にそれもなくなっていった。
 ぱちゅん、と音がする。肌がゆっくりとぶつかっては、また離れていく音。焦ったいほどの速度で押し込めたは良いものの、やはり彼女のなかは狭くて仕方がなかった。こうして動かしているのだって、どれだけゆっくりしても強引なそれにしかならない。それでも、少しずつ反応が変わっていくのを味わうように抜き挿しを繰り返す。
「…苦しいですか? 苦しいですよね。………でも、すぐに慣れると思うので」
「………ぁ、っ」
「きみも、気持ちよくなってくれると嬉しいんですが」
はく、と唇が震えた。空気を求めているのだろう、口はもう、閉じられる様子はない。それを良いことにキスをして、そのまま酸素を送り込んでやる。呼吸が楽になるのか、逃げられるようなことはなかった。あと少しかな、と思う。
 多少強引に進めはしたが、もう身体は慣れ切ったようだった。もっと泡立てて欲しいとばかりに滑りが増す。それを証明するように、ぐぢゅん、とあられもない水音が部屋中を埋め尽くしていた。耳も塞げない彼女はそれから逃れることすら出来ない。感覚のすべてが狂っていくのか、混乱はいつしか快感へとすげ変わったようだった。最初にあった羞恥心も、ぐらぐらと崩れていく。ぐぢゅん。音が響き渡る度に、彼女の理性が剥がれ落ちていくようだった。
「ぁ、ああっ、んっ、ゃ―――」
がく、と不自然にしなった身体が、そのまま痙攣するように震えていた。もう不要な力は入っていない。最初からされるがままではあったが、くた、と落ちた四肢は完全に服従したと見て良いだろう。
「………は、」
 だらしなく開いた口を塞ぐようにしてキスをする。朦朧とでもしているのか、やっと舌が拙いながらも応えるように動いた。それが嬉しくてキスを続けたまま律動を再開する。
「あっ、ゃ、あ―――~~~ッ、なん、で…っ」
「なか、すごいあつい…」
「、ゃっ、ア、んんっ、ぁ、」
ぼろぼろとこぼれ落ちる嬌声を喰らい尽くせてしまえたら、と思った。
「ねえ、」
 どうして、とまた呟いたその腰を掴み直しながら答えてやる。
「まだ終わりだなんて誰も言ってませんから」
「…ぁ、………ひ―――」
「頑張ってついてきてくださいね」
「ァ、だ…っめ、あっ、ゃあ! ぁ、あっ、んっ、ゃ…んんっ…!!」
一体何処まで彼女が意識を保っていられるのか。ぼんやりとそんなことを考えながら、また痙攣するように震えた身体を強く、抱き締めた。



紅の甘露



 動物のようだ、と思う。別に人間だって動物の一種ではあったが、そういうことではなく。肌と肌のぶつかり合う音が響いていた。掴んだ腰を無理矢理に上げさせて、叩きつけるように快楽をねじ込んでいく。
―――此処に、
合意など一切ない。ただ、力では敵わなかった女が無様に喘がされているだけだった。
「も、もぅ、やめ…て…くださ、ぃ」
涙にまみれた声なんて普段、聞くことなんてない。優秀な部下だった、性欲処理になんて使うのは勿体ないくらいに。だから―――そういうことから遠ざけていたというのに。
 仕事だ、分かっている。彼女だってマフィアだ、そうやって自分を使うことは出来る、のだ。でも―――でも、どうしてだろう、折角していた配慮が無駄になったからか、ぱちん、と理性がはじけるような音がしたのだけが印象的で。
「ゃめ………っ、」
ねじあげた腕が細かく震える。
「………ぁ、」
その反応が今までのものとは違って、だから同じ場所を突いてやる。
「…っ、ぁうっ、ゃ、あっ!」
 びくり、としなった背中に、明らかに色の変わった声。見つけた、と笑みが滲むのも仕方のないことだろう。
「ゃっ! あっ! ぁ、やあっ…ぁんっ、あっ、や、―――」
ぐりぐりと責め立ててやると、身体からは面白いように力が抜けていった。最早スリーの力なしでは上げてもいられない腰を、強く掴み直して腰を打ちつける。力が抜けたからだろうか、いい具合に拡かれた最奥を甚振ることはそう難しいことではなかった。
 耳に水音がのぼってくる。ぐぢゅん、という卑猥とも呼べる音が、部屋に蔓延していく。
「………も、」
殆ど顔を押し付けるような状態なのに、声は潰れないまま。彼女にしたら早々に潰れてしまった方が良かったのかもしれないが。
「ぉ、ねがい…し、ま………っ、ほん、と、………ぁ、っ、ゃ、」
細かく達し続けている彼女に、もう逃げるだけの力はない。だから、スリーに縋ることしか出来ないのだと分かっているのに。
「ゅ、るし………っ、」
びくびくと震える身体も、許しを乞う声も。
 初めて得るものだったから。
 まだきっと知らない彼女がいるのだろう、と思ったらやめてやることは出来なかった。満足には程遠い。けれども、それを言葉にする術もなく。
 代わりに無防備な首筋に舌を這わせて、そのまま歯を立てた。悲鳴と共になかが締まって、それに促されるように吐精する。
 あ、と漏れた声には未だ絶望が滲んでいたけれど、そのうちにそれも消えるだろう、と傷痕を強く吸った。



地獄に落ちろ



 落ち着いてください、という言葉で止まるように見えていたのであれば、危機感が足りない、と言うべきだろう。聞こえていないかのように押し倒すのは簡単だった。
「スリーさん…!」
それでも尚、じたばたと押し返そうとしてくるのは可愛らしいが、今はただ邪魔なだけだ。
「………ッ、!?」
「…これで、もう、抵抗出来ませんね」
かしゃん、と硬質な音で留めた手首は、腰の後ろ辺りに押し込まれた。どうしようもなくなった彼女が自分の下にいる、この征服感をどう表現したら良いのだろう。
「す、スリーさん………っ」
震えを必死で抑えている声も、逆効果でしかないのに。
「ねえ、」
ちゅ、ちゅ、と音を立てながらキスを落としていく。
「ボクはきみのことが嫌いじゃありませんから」
「―――」
告白にもならないそれに、彼女が何を思ったかまでは分からなかった。
 目がぎゅっと閉じられている。
 ボタンを外され、下着をずらされ。触れられていないところもキスをされていないところもなくなったような状態にしてやって。それからやっと、スカートに手をかけた。
「ゃ………」
弱々しく首が振られるが、それだって溜まった衣類を揺らすばかりで意味はない。寧ろ、余計に興奮するだけだ。
 太腿を辿る指を遊ばせるように往復させて、脚から更に力が抜けていくのを待つ。僅かに開かれた隙間にそっと忍び込むように、指の位置を進めていく。その度にびくり、と震える身体は最早彼女の制御下にあるようには見えなかった。
 そうして、辿りついた先で。
「はは、濡れてる」
「―――、」
「これだけ濡れてるなら大丈夫ですかね」
下着の上からでも熱く、指先を汚していくのが分かるように、ゆっくりとなぞってやる。スリーの言葉に勘違いしたのか、びく、と身体が強張るのが分かった。
「ああ、ちゃんと慣らしますよ」
大丈夫です、と下着を剥ぎ取って、それから指を挿れてやる。なかはとろとろと熱く蕩けていて、慣らすとは言ったものの、そんな行為が必要には思えなかった。もっと、とでも言うように内壁がまとわりついてくる。それに応えるように二本目の指を差し挿れてやれば、かしゃかしゃと手錠が音を立てた。
「聞こえます? ぐちゅぐちゅ言ってるの」
ばらばらに動かしても問題はなさそうだった。徐々に脚が開かれていく。彼女の意思に反して、身体が快楽に屈服したがっているのは明白だった。
「もう良いですよね」
 指を引き抜くと、つう、と蜜が糸のように引いた。
 足を広げてやって充てがうと、涙目で見上げられる。いやいや、と言うように首が振られてもやっぱりそれに意味があるようには思えなかった。
「ゃ、ぁ…っ、すりー、さ、」
「ほら、早く欲しいってひくひくしてる」
擦り付ける度に腰が揺れるのが、分かっていないほど馬鹿ではないだろうに。
「………せ、めて、」
縋るような声が、何を言いたいのか分かっていた気がするけれど。
「………ご、む…、」
「嫌です」
なんで、と問おうとした彼女の声は、悲鳴のような嬌声に変押しつぶされた。赤く熟れた芯を指先でくりくり、とやさしく撫であげる。声は未だ必死で抑えられているが、時間の問題だろうことは明瞭だった。
「きみのことが嫌いじゃないので、ちゃんとなかで出したいですから」
そのお願いは聞けません。
 そう言いながら、ゆっくりと先端を埋めていく。あ、あ、とただただ悲しげな声がが唇の端から落ちていくのが聞こえた。
「そんなに締め付けないでくださいよ…っ、まだ全部挿ってないのに」
きゅうきゅう、と甘えるように吸い付いてくるなかはこんなにも素直なのにな、と思う。
「分かります? 此処、擦る度にきみがびくってなる」
「―――ッ」
「こういうこと言われるの好きですか? また締まった」
真っ赤に染まった頬も、涙を浮かべた瞳も。隠すことが出来ないで、ただ首を振ったり視線を逸らしたり。そういうことでしか抵抗を示せないのに。快楽が彼女を裏切る、羞恥が更にそれを加速させていく。悶えるようなその仕草を堪能しながら、ゆっくりの抜き挿しを繰り返した。
「………っ、」
「そろそろ声出してくれても良いと思うんですけどね」
「っ、ぅ…」
「そんな唇噛み締めたら痛いでしょうに」
「………んっ、」
 それだけはしてなるものか、と言わんばかりに首がまた、振られた。
「…まあ、」
上体を倒して、耳殻に齧り付く。緊張か、またなかが締め付けられる。
「ちゃんと最後まで入れてあげますから。ゆっくり気持ちよくなってくれればそれで良いですよ」
未だかたく閉ざされているような更に奥が、いずれ歓迎するように拡かれることを。スリーは知っているのだから、焦ることなどなかった。



微熱の魔法



 やだ、やだ、という声はもう掠れたものでしかなくなっていた。その代わりに、嬌声にもなれなかったものが時折、こぼれ落ちる。そんなことに随分時間をかけたからか、金属音は聞こえていただろうに、その身体が逃げることはなかった。もう、そんな気力もないのかもしれないが。
 そっと、充てがう。
 それだけで身体は緊張したようにこわばって、せっかく慣らしたはずの場所はまた侵入者を拒むように閉じてしまった。それでも、今更止めてやることも出来ない。挿れてしまえばそのうちに慣れるだろう、とゆっくり押し進めていく。
「きっつ………」
「………ひ、ぁ、っ、」
「あれだけかき回したのに、まだきついんですね」
「ゃ、あっ、ぁっ、ん、」
「まあこれから覚えてくれれば良いんですけど」
「ぅ、ぁ…ッやだ、」
まだ、嫌だなんて言うから。
 さっさと諦めたらいいのに、と思いながらピストンの速度を上げる。狭いなかが怯えるように締まって、これはこれで気持ちが良い。それでも、痛みに呻く声に一抹の罪悪感は浮かぶもので、仕方なく片手を腰から離した。
「まだ胸の方が気持ちいいですか?」
「あっ、ぁ、や、…っゃら、」
びく、と身体が震える。耐えきれない、とでも言うように涙がこぼれ落ちた。それが一体、スリーなんかに組み敷かれていることへの屈辱になのか、それとも正しくかたちを成してきた快楽になのか、分からなかったけれど。
「ふ、ぅっ、あ、ゃ、んっ、…ぁ、」
やっと色付いてきた声と、かたく勃ち上がり始めたそれを優しく弄りながら、止まらない涙を眺めている。気が逸らされたのかなかもやっと力が抜けてきた。全然挿っていなかったのがやっと全部挿るようになる。
 何度も何度も抜き差しする中で、びくり、と彼女が反応を示した。
「………ッ、」
「ここ、すきですか?」
「っ、ぁ………、は………」
やわらかな内側を叱るように褒めるように、繰り返し繰り返しなぞってやる。もう声も出ないのだろう、吐息にしかならないそれだったけれど、興奮を昂めるには充分だった。朦朧としているのか、最初にあった抵抗は既になくなっている。それでも、何か足りないような気がしたから。
「そんなにいやらしい顔をして、恥ずかしいと思わないんですか?」
 顎を掴んで顔を上げさせるのは簡単だ。ゆるゆる、と意識が浮上して、鏡の中の彼女と、目を合わせるのが、見えて。
「―――ぁ、」
「ねえ、すごくいやらしい顔をしてますよね」
「………ち、が、」
「何が違うんです? 何も違いませんよね」
「ぁ、あ………っ」
「恥ずかしいですよね、あれだけ嫌だとか言ってたのに…結局こんなふうに愉しんでるんですから。最初からこういうふうにされたかったんじゃないんですか?」
「そ、んな…、」
最後に残された絶望を振り絞ったかのような声とはうらはらに、なかはぎゅう、と締め付けをきつくした。身体は素直ですね、と言いながら顎を離さないでいれば、もっと、とでも言うように腰が揺れた。
―――もう、
嫌だなんて言わせない。
 そんなことを思いながら、ゆっくりと己のモノの挿っている腹を撫でてやった。



果てなき波の空へ



 じわじわと脳が侵食されるようだった、焦燥とは違う、でも期待と言い切るにはまだ遠い。そのまま首筋へとキスを落としたら、ひく、と震えが起こった。いい香りがしている、それが常の香りなのか、それともこんなことになっているからそう感じるのかまでは判断がつかなかったが。
「スリーさん、っ」
やめてください、と伸ばされた手を逆に絡め取るのは簡単だった。ネクタイを外して縛り上げる。
「な………」
「これで動けなくなりましたね」
「待ってください…!」
「待ちません」
待てるものならそもそもこんなことはしていない。衣類を剥ぎ取って、それから脚を開かせた状態で固定した。嫌だ、と悲鳴が上がるけれども、聞いてやることなど出来ない。
 当然、濡れてはいなかった。
「………ひ、ぃっ」
鞄からローションを取り出して、丁寧に注ぎ込んでいく。これで滑りはよくなったはずだ。この先濡れることがなくても怪我をさせるようなことはなくなるだろう。馴染ませるように指を挿し入れ、ゆっくりと解していく。やわらかなそこが、彼女の意思に反して指を飲み込むさまは背徳的とも言えた。緊張に締め付けられる感覚は心地好い、そして、やわらかさが増していくのも。
「………、」
ふいに、気になって二本目の指を挿れた。ローションのおかげか、それとも変化が起こっているのか、彼女が痛がることはない。二本の指を左右に押し開いてみせた。くぱ、と小さな音が聞こえたのは気の所為ではないはずだ。
「いやらしい色ですね」
「ゃ、は………ッ、」
「結構、やわらかい…」
「んっ、んん、っ」
「これなら慣らさなくても大丈夫ですかね」
その言葉に、また身体が緊張したのだろう。でも、それだって締め付けるような動きになって、こちらを喜ばせるだけなのに。
 指を引き抜いてベルトを外す。静止の声は無視して、そのままゆっくりと貫いた。
「ぁ、あ………」
ネクタイで封じられた腕で、それでも顔を覆って。望まない行為に打ちのめされている彼女は、美しかった。
「ぅ…、っ」
「―――ぁ、」
何をされたのか理解したのだろう、絶望的な声を聞きながら尚も律動を繰り返す。どろ、と隙間から泡立った精液が溢れ出て、彼女の太腿を汚していった。
 それを見ていたら他にも触れたくなって、ボタンを引きちぎるようにしてシャツを開ける。控えめに主張する胸をいじれば、びく、と身体が跳ねた。あ、あ、と口から溢れる声は、もう最初の頃の拒絶と絶望だけではない。
「両方されるの、すきですか?」
「ぃや、ぁ、やら、っ」
「泣くほど気持ちが良いならそう言ってくれないと」
「ゃっ、やぁっ、」
「喘いでるだけじゃあ分かりませんよ」
「や、だぁ…ッ」
必死で首を振られるけれど、その頬は上気してきている。それが分かっていない訳ではないだろうに。認めたくないのだろう、尚も首が振られる。そんなことに、意味などないのに。
「はは、かわいー…」
「ひ、ぅ、」
 一度抜いて、抱え起こす。膝の上に乗せて再度挿入してやれば、自重(じじゅう)や当たるところが変わったのか、唇が噛まれるのが見えた。
「ほら、見てください」
「………?」
せっかくこんなお誂え向きのものがあるのに、目を瞑っているなんて勿体ない。後ろから胸をこねるようにいじり続ければ、快楽から逃げるように目が開けられた。
「ゃ、」
その視線の先には、
「こんなに美味しそうにボクの咥え込んでるんですよ」
「…ッちが、」
「ほら、きゅうきゅう締め付けて、気持ちいいんですよね?」
大きな鏡があって彼女の痴態を余すことなく映し出している。
「大丈夫ですよ」
「、ぁっ」
耳を強く噛んでやればまた、なかが締まった。それにいざなわれるように二度目の白濁を吐き出す。
「ボクも気持ちいいですから」
一緒にいっぱい気持ちよくなりましょうね、と言葉をねじ込みながら、やっとひたひたと快楽を求めるようになってきたなかに、また硬度が取り戻されるのを静かに待った。