ほら、今日から春だよ。
抵抗を諦めたのが伝わったのか、偉いぞ、と頭を撫でられる。そうして手首の拘束は外され、義唯は膝立ちにさせられた。
「ほら、」
ベルトの音。そう来れば次に何をさせられるのか分かってしまう。手を掴まれて添えさせられる。既に熱を持った其処からむっとした匂いがして、嘔吐きそうになる。
「そうだ、義唯。初めてやるのに上手だな」
ずるずると、前世の記憶を引っ張り出してひたすら黙って奉仕を続ける。男が流石だ、お前は特別なんだよ、と言い募る度に倫理が削ぎ落とされていくような気がした。
耳を塞ぎたいのに、塞げない。
「義唯」
声の優しさと、目の前の欲が噛み合わなくてちぐはぐだ。
「口を開けなさい」
唇をつつくような仕草をされ、言葉と共に押し入られる。頬を掴まれては吐き出すことも叶わず、入り切らなかった分を必死に手で刺激しながら、必死に舌を動かした。これから逃げたら喉奥まで入り込まれるかもしれない。そうなってしまえば、窒息だってあり得るだろう。じゅぶじゅぶ、と音が立つのは自分の唾液なのか、それとも男の分泌物なのか分からない。そのうちに勝手に高まった男は出る、出ると叫びながら義唯の口に白濁を吐き出した。飲み込めずにげほ、と咳き込む義唯に、男は怒らなかった。いい子だ、と頭を撫でられる。何処がいい子なものか。
こんなのは、可笑しい。
分かっているのに力がないから、何も出来なくて。
布団に転がされる。当然のように男が上に跨る。細い脚を強く握って広げて、ああ、これじゃあ本当に捕食されるだけのいきものだ。
―――自分が、
何を言ったのか覚えていない。けれどもこどもらしく汚いよ、だとか無理だよ、だとか言ったのだと思う。実の娘に欲情して処女を奪う父親がいてたまるか、と叫んでやりたかった。けれども義唯には無理だった。月島になら出来たかもしれないけれど、義唯は女で、こどもというのを除いても力がなかった。大丈夫だよ、と男は言う。何も大丈夫ではないことを義唯は知っている。ずるり、と熱が充てがわれ、みち、と音がした。全身に響く痛みに叫ぶことすら出来ない。
布団が、汚れたと思った。
そんな現実的な思考だけが、義唯をこの世界に繋ぎ止めていた。
「義唯、いい子だね」
気持ちのいい時は素直に言うんだよ、と言われて喉が動いているのが分かる。あ、あ、とおんなの声がする。こんなちいさな身体から、それが押し出されている。腹を内側から突かれるような痛みが、快楽へと変換されていく。暴力的なまでの行為。単なる搾取。それでも男は義唯が楽しんでいるのだと言う、言い続ける。何が本当なのか分からなくなっていく。
「あ、ァ―――っ、」
びくん、と身体がしなり、頭が真っ白になった。何度も何度も、思考が断絶する。靄の向こうで男が笑っている。
ただ。
こんなふうにしか適応出来ない自分に、絶望するしか出来なかった。
これからずっとこういうことを続けていくのだろうと、そう思ったら何もかもが嫌になった。
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